ITmedia NEWS >

“軽快”な操作性が身上、日立のハイブリッドレコーダー「MS-DS250」(後編)レビュー(2/2 ページ)

» 2004年05月17日 13時52分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 バックアップ機能は、EPGから取得した番組情報なども含めてバックアップするようになっており、HDDへ完全な形で書き戻すこともできる。またDVDビデオの規格外となるXP+モードで録画した番組もバックアップであればDVD-RAMへ書き出しが可能で、HDDへ書き戻さずDVD-RAMをそのまま再生することもできる。

 便利なのは、バックアップしたメディアをパソコンでそのまま扱える点だ。1番組が1つのMPEG2ファイルとしてDVD-RAMに書き込まれており、DVD-RAMを読み出せるパソコンであれば、そのまま再生できる。最近はDVD-VR形式でも読み出せるビデオ編集ソフトなども増えつつあるが、取り扱いの容易さはバックアップ機能に軍配が上がる。

photo バックアップしたDVD-RAMには、番組単位のMPEGファイルと付加情報が保存されている。「ウルトラQ〜」はPCで録画した番組をファイルコピーしたもの

 またパソコンで書き込んだMPEG2ファイルを再生することもできるし、HDDへの取り込みも可。とくに、パソコンで録画したMPEG2ファイルを、ファイルコピーするだけで、リビングにある「MS-DS250」で再生できる点は、それなりに使い道があるだろう。

photo パソコンでDVD-RAMへコピーしたMPEGファイルもこのように認識され、再生が可能
photo 再生やHDDへの取り込みもOK。ただし、PCからコピーしたMPEGファイルは早見、早戻しといった可変速再生は行えない

誇張のない絵作り、高画質録画

 ハイスペックモデルの「MS-DS250」は、地上波を綺麗に録画するために今や必須となったゴーストリダクション、3D Y/C分離を装備している。また発色も含め基本的に誇張のない絵作りも悪くない。旧モデルに相当する「MSP1000」では、発色こそ鮮やかだが、ノイズリダクションが効きすぎで情報量が欠落している印象もあったが今回は製品の位置付け相応の絵作りになったともいえる。

 5つの録画モードは全て720×480ピクセルのDVD解像度(D1)となり、どの録画モードでもテロップなどでジャギーを感じることはない。気になるXP+モードの画質だが、さすがに地上波を録画して再生する限り、XPモードとの画質の判別は難しい感じだ。それほど極端な情報量指向の絵作りでもないという点も影響してるだろう。地上波を録画する限りは、SPモードでも十分という印象だ。

 さすがにLPモードとXPモードを比較すると素人目にも画質差ははっきりわかるが、LPモードの解像度にも、特に無理があるという印象は受けない。ただ、LPモードでは映像として単調な部分(グランドの芝など)がのっぺりと潰れたように感じることもある。ただ、これも“凝視すれば……”という程度。LPモードでもテロップ周囲などのリンギングも目立たず、大きく破綻を感じるわけではない。

 全録画モードで可変ビットレートを採用しているが、ビットレート配分は結構ダイナミックなようだ。平均2Mbps程度のLPモードで最大4Mbps、平均4MbpsのSPモードでで最大8Mbpsp、平均6MbpsのHSPモードでは最大9Mbps程度までビットレートを引き上げている。XPやXP+モードはそれほどダイナミックではないが、XPモードで最大9.8Mbps、XP+モードで最大12Mbpsp程度までビットレートを割り振っている。

photo LPモードのビットレート変遷。黄色のグラフがビットレートで、縦のスケールは1Mbps単位。1〜4Mbpsの範囲で、かなりダイナミックなビットレート配分をしているのがわかる

 ちょっと気になったのは、チューナーの感度だ。検証環境は、集合住宅で立地の関係から隣のビルのアンテナを共用していたため、NHK(特に教育)はいわゆる電波がかなり弱い状況。ほかのレコーダーやテレビチューナーカードなどと比較すると、このNHK教育がかなりノイズっぽい画面になり、録画しても映像としてまともに記録されなかった。

チャプター活用のみの単純な編集機能

 製品の位置付けを考えると、極めて単純といえるのが編集機能だ。正確にいうと、物理的に映像をカット&結合するような物理的な編集機能は持たない。基本的には、再生時に任意に打ち込めるチャプターマークを利用し、不要部分の再生スキップが行える程度だ。なおチャプターマークはGOP単位(通常0.5秒)になる。

photo チャプターの打込みは再生時に行う。チャプターの削除、スキップ指定などは録画済一覧から機能メニューで呼び出す。番号に斜線の付いたチャプターの開始位置から次のチャプターまでは再生をスキップする

 ただし、再生スキップはダビング時にも反映されるので、録画した番組の一部をDVDにダビングすることは可能だ。また録画した1つの番組内で複数のチャプターを選択し、ダビングできる。

 ただ編集機能としてはまさしく“最低限”という感じで、用途としては録画した番組のCMカット程度だ。ハイスペックモデルという製品の位置付けを考えるとあまりに寂しいが、これも日立なりの割り切りなのだろう。

優秀なHDDレコーダー、ダビング機能は要改善

 「MS-DS250」は、テレビ番組をHDDに録画/再生するという点で、非常に優秀なレコーダーだ。自動録画延長機能はアイデアものだし、基本的な操作性、予約録画機能なども優秀。前編で触れるのを忘れてしまったが、録画済み番組でも「ジャンル別一覧」、出演者での番組検索が可能であり、任意のフォルダ分類こそできないが、録画した番組の検索性も高い。

photo このように、予約録画時だけでなく、録画した番組もジャンル別の一覧が可能
photo 録画済み番組の中から主演者で目的の番組を検索することもできる

 その反面、DVDへのダビング機能はハイスペックモデルとしては物足りない点が多く、他社製品と比較して一世代も二世代も遅れている面がある。とくに、ダビング中に予約録画が実行できない点は痛い。大容量HDDを搭載した製品を購入するユーザーは当然予約録画の頻度も高いはずで、DVDメディアにこまめにダビングして保存するユーザーにはちょっと向かない製品といえる。

 HDDレコーダーとしては優秀な製品だが、DVD+HDDのハイブリッドレコーダーと考えると少々機能がアンバランス。録画はHDDがメインで、本当に残しておきたい番組だけをDVDメディアにダビングする、そんなユーザーに適した製品といえるだろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.