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高速起動&クイックレスポンスで“ファンタス”の再来なるか? 「楽レコ」を試す(後編)レビュー(4/4 ページ)

» 2004年07月21日 16時43分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 三菱電機のDVDレコーダー再参入第一弾となった「DVR-HE700」。同社のかつてのVHSレコーダーを知る身としては、もう少し大胆でかっちりとした画質を期待していたのだが、個人的な印象では少し期待外れだった。もっとも、現在の「楽レコ」シリーズは明らかに幅広いユーザー層をターゲットにしているため、筆者のような期待を寄せるのは少々酷ともいえるのだが。

 録画品質に大きな破綻は感じないが、録画モードに応じた絵作りがされていない印象を受けた。たとえば、高画質で保存するためのXP/LPはもう少しシャープに、LP/EPはもっと見易さ重視の方向にシフトしても良いのではないだろか? また録画ノイズリダクションは、録画モードごとに設定できると、ある程度補完機能として利用できると思う。

 一方、クイックレスポンスはなかなかほかに代え難い魅力だ。電源オフから1.5秒での録画開始はもちろん、全般に操作に対するレスポンスが良く、ストレスを感じる部分が少ない。唯一緩慢さを感じたのは録画済み番組の選択画面で、おそらく緩慢さの原因である動画サムネイルは設定で無効にできるようにもしてほしいものだ。

photo リモコンは中央部に再生操作系とメニュー操作系を配置し、片手でリモコンを持ち替えることなく基本操作を行える。ボタン配置なども悪くない。ただ、厚みがあるので手の小さい人はちょっと辛いかも
停止キーは再生と録画で共用となっているが、予約録画時は停止キーを押しても即座に録画を終了せず、確認画面が表示されて誤操作を防ぐ

 機能的な不満として挙げられるのは、やはりカット編集が不可能な点だ。ダビング時にはプレイリストを活用すればいいのだが、番組前後のCMだけでもカットしたいといった場合には少々面倒。録画延長機能を利用すると必然的に30分、60分という単位でダビング時にカットしたい部分が発生するので、次期モデルでは、ぜひカット編集だけでも装備してほしい。


 DVR-HE700は、AV機器というより家電指向の製品だ。高度な編集機能は持たないが、EPGを利用してHDDにどんどん録画して、気に入った番組をDVDへダビング、といった平均的な使い方であればほぼ不満はない。明らかにマニア向けの製品でないが、アテネオリンピック特需に向け、幅広い層にアピールする製品として妥当な機能を有している。

 現在、量販店ではDVR-HE700が8万円前後、DVR-HE600が6万円台前半、DVR-HE500が5万円台前半となっており、これは競合性品と比較するとかなり魅力的な価格だ。ブランド力に勝る松下やパイオニア製品と比較すると競合製品より1万円以上安い。この価格は、大きな魅力の1つとして考えていい。

 なお、今回の「楽レコ」シリーズの評価からは離れてしまうが、個人的にはトップモデルの型番が700番台という中途半端な数字である点も気になるところ。つまり、1000番台のハイエンドモデルの登場につい期待を持ってしまうのだ。かつて「画質は根性」をスローガンとし、それを具現化していた三菱電機だけに、今後の商品展開にも期待したい。

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