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松下「DMR-E500H」のネットワーク機能を試すレビュー(3/3 ページ)

» 2004年09月27日 19時37分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 旧モデルにあたるDMR-E200Hは、LANポートがインターネット接続専用だった。単体発売されている「ブロードバンドレシーバー」をそのまま内蔵したような構造だったためだろうが、パソコンと直接LAN接続して連携する機能は何も持ってないという、ある意味“もったいない”製品でもあった。

 DMR-E500Hでは、Webブラウザでアクセスする「DIGA MANAGER」が装備され、LANを経由したパソコンとの直接連携が可能になった。録画済み番組のタイトル名が編集できる「ビデオタイトル名編集」、MPEG-4録画した番組が再生できる「MPEG4再生」、保存した静止画が再生できる「写真再生」にくわえ、電源ON/OFFを含む簡易リモコン機能「レコーダー操作」も搭載した。レコーダー操作では、録画予約も可能だ。

photo 「DIGA MANAGER」は初回接続時に必ずパスワード設定を行い、以降パスワードを入力しないと利用できない
photo レコーダー操作画面。DMR-E500Hの動作状態を把握することも可能で、簡易的な双方向リモコンのように使える
photo 写真再生の画面。スライドショー再生はもちろん、画像切り換え時にさまざまなエフェクトをかけることも可能だ。かなり楽しめる

 MPEG4録画は、あらかじめ設定しておけば通常録画と並行して行われる。従来はポータブルプレーヤーで再生するためという位置付けだったが、DMR-E500Hではより高画質な録画モード「XF」(エクストラファイン)が追加され、320×240ピクセル/30fpsで録画できるようになった(ちなみに従来から存在する「SF」も320×240ピクセルの解像度だが、こちらは15fpsとなる)。画面は小さいが、パソコン画面でも十分に実用的だ。

 MPEG4再生は録画サイズに対して2倍のサイズ、フルスクリーンでの再生なども可能で、ストリーミング再生なのでさほど待ち時間もなく再生が開始される。ただし、番組全体の受信が終わらないと、再生位置の移動や早送り再生は行えない。DMR-E500Hからの送信速度は最大で5.5Mbps程度のようで、約1.2Mbpsで録画される「XF」では再生時間の1/5以上の受信時間が掛かる。つまり、MPEG4再生では「見たいところだけさっと見る」という使い方ができない点に注意したい。

photo MPEG4再生の録画番組一覧画面。複数の録画済み番組を選択してから再生可能。なお、同じタイトルが複数存在するのは、設定したメモリカードサイズに合わせて自動分割されるためだ
photo 再生はブラウザ内で行われるが、フルスクリーン再生も可能だ。再生ウインドウの下に見える「22%ダウンロード済み」が100%に達しないと、再生位置の移動や早送りが行えない。統計情報を見ると、100Mbpsの有線LAN接続中にも関わらず、使用中の帯域幅が5.5Mbps程度なのがわかる
photo 「XF」で録画した映像。さすがに320×240ピクセルではジャギーも目立つが、MPEG4独特のぼやけたイメージになっていない点に注目してほしい。画像は、スカパー!/スカパー!110、ケーブルテレビで放送中のディスカバリーチャンネルより、「グローブトレッカー/スリランカとモルディブ」(c)2004 Discovery Communications Inc.

 「DIGA MANAGER」もホームネットワーク機能の一部であり、利用条件はほぼ同じ。原則としてDMR-E500Hの電源がOFFである必要があり、さらに厳しい制限としてDMR-E500Hが予約録画中は利用できない。ただし、「DIGA MANAGER」を呼び出すのはいつでも可能で、「レコーダー操作」だけはDMR-E500Hの動作状態に関わらず利用できる。つまり「DIGA MANAGER」自身でDMR-E500Hの電源を切り、他の機能を利用することができる。

 このほかにも、制限といえる部分が2つある。1つは、MPEG4録画自体がコピーワンス放送に対応していないため、当然パソコンでの再生も行えない点。もう1つは、「レコーダー操作」を利用した録画予約ではEPGがサポートされていないことだ。もっとも、松下のインターネットサービス「DIMORA(ディモーラ)」を利用すれば、パソコンからEPGを利用して録画予約が可能になる。ブロードバンド接続環境なら、ストレスなく利用できるだろう。

 面倒な点も2つほどある。「DIGA MANAGER」はIPアドレス直打ちでしか呼び出せず、DHCP環境下では少々面倒だ(サーバとなるDMR-E500Hの設定画面で割り当てられたIPアドレスを表示し、メモしておくのが手っ取り早い)。DHCPサーバ(通常はブロードバンドルータに搭載されている)を再起動しない限り、IPアドレスは変化しないだろうが、機器名の設定があるのだから、東芝の「RDシリーズ」のように機器名でアクセスしたい。せめて、PCからLAN上のDMR-E500Hを検索し、IPアドレスでブラウザを起動するソフトウェアでも提供してくれないだろうか。

 またMPEG4を「DIGA MANAGER」(正確にはWindowsMedia Player)で再生するための事前準備も面倒だ。インターネットから音声、映像の各コーデックを入手してインストールしたり、コーデックの自動インストールのためにブラウザのセキュリティレベルを一時的に変更する必要もある(コーデックの自動検索&ダウンロード機能を使用するため)。CD-ROMを1枚添付してくれれば済む問題のような気もするのだが……。

 なお、10月下旬に富士通から提供が開始されるマルチメディア管理ソフト「MediaStage Premium Edition」は、DMR-E500Hに通常録画された番組(MPEG-2)をパソコンで再生する機能をサポートする。これを利用すると「DIGA MANAGER」によるMPEG4再生より高画質&制限が少ない再生環境が実現するわけだ。ただし、残念ながらコピーワンス番組の再生はサポートされない。なお「MediaStage」は富士通「FMV」シリーズ、日立「Prius」シリーズへのバンドルが中心となるが、松下の直販サイト「パナセンス」でも販売する予定だ。

 今回は、主に拡張されたホームネットワーク機能について触れた。次回は、インターネットを利用したネットワーク機能やDVDレコーダー本来の録画機能を取りあげたい。

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