「初夏の時点では年末にはROMサポートの製品を出そうと真剣に考えていた。しかし、ご存じのようにさまざまな状況から仕様変更を入れざるを得ず、ROM再生のサポートが絶望的になった。年内の2号機発売はなくなったが、来年のBD対応機に関しては、現時点で真剣に悩んでいるところだ。一番のネックはVC-1。デバイス設計を始められるだけの仕様にまで、まだ固まっていない」(西谷氏)
確かにSMPTEにおけるVC-1の仕様策定作業は最近スピードが上がり、年内には終わりそうだという話が漏れてきている。とはいえ、対応する半導体を完成させ、さらに製品に組み込んでテストを行って、となると、ROMサポートは来年いっぱい、ギリギリになりそうだ。
ところが、来年後半にはBD-ROMを用いたパッケージコンテンツを提供する、という話を公言してしまっている。そのときには間に合わせなければならない。
「自社でできるところは、可能な限り自社製デバイスでやる予定だ。年内に仕様確定さえすれば、ソニー製半導体で来年中に出せる準備は済ませてある。あとはとにかくVC-1待ちといったところだ。理想はパッケージソフトとの同時発売と考えている」(西谷氏)
では来年の今頃は、どのような進捗になっているのだろう。「年末向け製品の準備に忙しいといったところだろうか?」との問いに、西谷氏は「年末製品に向けて、粛々と準備を進めているのが来年の今頃(CEATECの時期)だろう」と答えている。
しかし、ソニーのBD2号機に関しては「迷いもある」と西谷氏は言う。その迷いとは、S77を発売して以降、ライバルからは2層50Gバイトの録画機が登場している中で、何らアップデートを届けていないことなのかもしれない。2層メディアは高価過ぎるが、23Gバイトメディアでは無理だが、25Gバイトメディアなら救われる、というコンテンツもそれなりにあるものだ。
「(年末に2層50GバイトHDDハイブリッドを発売と放していた初夏の頃と)気持ちは変わっていない。新しく開発したピックアップユニットは2層記録対応にも対応している。これを(ハイビジョン録画可能な光ディスクを求めている)ユーザーに何とか届けたいと考えている」
「しかし一方で、2号機はROM再生サポートを行わなければ、ユーザーから受け入れられないのでは?という危惧もある。ROM再生サポートを行うなら来年末だが、それまでに少しでも早くユーザーに届けるならば、ROM再生サポートを諦めなければならない」(西谷氏)
ということは、「来年の製品化計画に関しては?」と、西谷氏に追い打ちをかけてみると「現時点では決めかねている、が正直なところだ。動向をよく見据えたい」と、その気持ちを吐露した。
年内のソニー製2号機登場は、ひとまず“ない”。しかし、来年末商戦向けにROM対応機が登場するものの、その前にROM再生できないが、高機能化と低価格化を実現した機種の登場は“可能性”としては残っているというところだろう。
当初より遅れはしたが、ソニーのBD製品計画は、いよいよROM再生対応機の投入計画について、真剣にそのスケジュールを練る段階に入ってきた。
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