アテネオリンピックが終わり、一息ついた感のあるDVDレコーダー市場だが、秋冬の新モデルには意欲的な製品が多い。いわゆる“3強”のハイエンドモデルを含め、各メーカーの今後の方向性も見え隠れする状況になった。そんな2004年秋冬モデルを統括してみよう。
いわゆるオリンピック特需を狙い、普及モデルの充実が目立ったのが2004年の春夏モデル。松下、東芝、パイオニア、ソニーといった主力メーカーが普及モデルの投入のみに留まり、ハイエンドモデルの投入が皆無だったのも特徴だ。唯一存在感を示したのは、「W録」を採用した東芝の「RD-XS53/43」だった。
これに対し、2004年の秋冬モデルは主力メーカーがフルラインナップで新モデルを投入し、ハイエンドモデルにも久々の新製品が追加された。もちろん単純にフルモデルチェンジの時期が重なったとも言えるが、オリンピック特需を終え、各社が本格的に機能面で差別化を図り始めたともいえる。特需が終わり、本来の機能競争へ回帰したーーそんな印象だ。
2004年秋冬モデルのトレンドの1つは、DVDドライブの高速化だ。夏モデルから一部製品は8倍速ドライブを採用していたが、これがほぼ全面採用となった。もちろん必然性というよりは、単純に主流の書き込み型DVDドライブが「DVD-Rの8倍速書き込み」に移行したという側面もあるが、歓迎できるトレンドである。
4倍速ドライブ時代にも「2時間番組を5分でダビング」といった宣伝文句もあったが、これはEPモードで録画した番組をDVD-Rにダビングした場合で、あまり現実的な話ではなかった。しかし、8倍速ドライブ採用製品ではDVDメディア一杯、つまりSPモードなら2時間録画した番組が、DVD-Rで10分以下、DVD-RAMやDVD-RWといった繰り返し利用できるメディアでもほぼ15分以下で高速ダビング可能になり、CMではないが「出かける準備中にダビングして出先で見る」といった使い方もかなり現実的になってきた。
内蔵するHDDの大容量化も順調に進み、各社ハイエンドモデルは400Gバイト以上、主流は250G/160Gバイトに完全に移行した。HDDの場合、容量が増えても消費電力や動作音が大きく変化するわけではないため、これも基本的には歓迎すべき進歩だ。
ただし、HDDに関しては気になる点もある。DVDレコーダーでは160GバイトまではSamsung製を中心に5400rpmタイプが多く採用されていたようだが、250Gバイト以上は多くの製品が7200rpmタイプを採用(正確には5400rpmのHDDがほぼ選択できない)しているようで、若干ながらHDDの動作音が気になる製品があった。もちろん、「耳障りで仕方がない」といった製品はないのだが、大容量HDD搭載製品を購入する場合には気に留めておいたほうが良い。
パソコンのテレビチューナーカードに比較すると普及の進まないゴーストリダクションチューナーは、ソニーが「スゴ録」で採用モデルを増やしたものの、三菱電機はハイエンドモデルでも採用なし。そのほかは、基本的には各社がハイエンドモデルで採用するという状況は変わっていない。
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