夏に東芝の「RD-XS53/43」が採用した、いわゆる「W録」は、大きなトレンドになりつつある。地上波チューナーとMPEGエンコーダーを2つずつ搭載し、2番組同時録画可能な機能だ。松下が追いかけるように「どっちも録り」と銘打って2モデルを投入し、東芝は現行モデルで一気に4モデル(市場流通の残るRD-XS43まで含めれば5モデル)まで対応を拡大した。特別番組が重なる年末年始には重宝する機能であることには間違いない。
「W録」とは異なる方向性を打ち出したのはソニーとパイオニア。フルモデルチェンジしたソニーのスゴ録は「おまかせ録画」に加え、より確実に番組を録画するための「追跡録画」を採用し、放送時間が不定になりがちな深夜番組や、最終回だけ放送時間が拡大されることも多い連続ドラマなども確実に録画可能とした。
パイオニアは2004年夏モデルでEPGを採用したばかりだが、2004年秋モデルでは、いわゆる「おまかせ録画」を採用し、さらに設定したキーワードの表記の違いを吸収し、関連キーワードからも番組検出を行える辞書機能まで採用した。またスゴ録の「追跡録画」ほど柔軟ではないが、連続ドラマの繰り返し録画で、最終回の放送時間拡大にも対応する予約録画機能も搭載している。
奇しくも旧3強にソニーをくわえた現在の4強メーカーが、2メーカーずつ異なる方向性を見せたことになる。そして残念ながら、両方の方向性を併せ持つ製品は登場していない(ただし、松下DMR-E220H/330Hは“どっちも録り”と自動延長機能を装備)。放送時間が重なる番組も録画したい「欲張り派」か、見たい番組を確実に録画したい「確実派」か、現状ではどちらかを選択しなければならないわけだ。
この2つの方向性、本来なら互いに補完する機能であり、「おまかせ録画もできて、繰り返し録画の追跡もしてくれて、録画した番組が重なってもOK」が便利なことは間違いない。そう遠くない将来に両方の機能を備えた製品も登場するだろう。そういう意味では、より多くをDVDレコーダーに求める人はちょっと“待ち”の時期に入ってしまったとも言える。ITmediaのインタビューではソニーが2番組同時録画を「今後の検討課題」としている点も気になる所だ。
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