とくに時間をかけたのは、背面にある放熱用のスリットとハンドルだ。大画面テレビの場合、バックライト部や基板の上に放熱用のスリットは不可欠だが、入れすぎると背面から見たときのシェイプが崩れてしまう。このため技術担当者と相談しながら設計図面に最小限のスリットを加えていった。しかし、それでも控えめ過ぎたのか、「ときには(筐体の)金型を作ってしまってから、修正したこともありました」(清水氏)。
また、最初に投入する17型/23型のテレビなら、家の中で持ち運ぶためのキャリングハンドルも求められる。「単に持ち運ぶことを考えるのなら、バックパネル上の凸部を上に延ばして左右に窪みをつけるだけで済むことなんです。でも、そうすると上からテレビを俯瞰したとき“つるるん”デザインが壊れてしまう」(川崎氏)。このため、極力シンプルで“自己主張”のない形状を選択したという。
製品が発売された後で変更した部分もある。それは、液晶テレビなら必ずといっていいほど設けられる画面の黒いフチだ。テレビなどの映像機器では、画面の周囲が黒いほうが映像をくっきりと感じられるというのが業界のセオリー。しかし、これも白をイメージカラーとするCAPUJOには似合わないとニコラ氏は判断した。このため最初に登場した17型、23型のホワイトタイプ、そして20型(ホワイト)にはフチが入っていない。
「しかし、発売した後で販売店やユーザーからフチがないとおかしいという声が多かったんです。フチがないから買わないという人も実際にいて、20型のシルバーではフチを入れることにしました」。
発売された「CAPUJO」は、筐体色がホワイトという珍しさも手伝い、まず特定のユーザー層に売れた。さらに発売後2カ月間をかけてお洒落なカフェバーに貸し出したり、やはりお洒落なイメージのある東急東横線沿線でキャンペーンを実施するなどして「局地的に白の販売が伸びた」という。
「高めの値段設定だったこともあり、ターゲットユーザーの年齢設定は少し上になりました。その中では、ホワイトよりもシルバーのほうが受け入れられた感もありますたが、逆に白を好きだという人はすごく好きという印象を受けましたね」。
今のところ、27型/32型はシルバーのみだが、ホワイトの投入も検討しているという三洋電機。似たような外観の液晶テレビが多い中、デザインにオリジナリティを求める戦略は一定の効果を上げているようだ。
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