残念なのは、本体にハンドルがないことだ。指をかけられる“出っ張り”は用意されているものの、凹凸は控えめで、濡れた手で持ち運ぶときには少し不安をおぼえる。握力の弱い女性や子どもだったら、なおさらだろう。また、S字フックを利用してタオルハンガーなどに吊り下げることもできないから、設置場所も限られてしまう。
その代わりといっては何だが、背面にもゴム足が付いていた。これは、壁面にぴったりと寄せても筐体が傷つかないようにするもの。どうやら壁のある平らな場所に設置することが前提のようだ。筐体の重心も背面側に偏っていて、背後に壁があれば不安定になることはなさそう。ボタン操作も指一本で済む。
再生できるディスクは、音楽CD(CDDA)およびCD-R/-RWの3種類だ。MP3は16kbpsから320kbps、WMAは32kbpsから320kbpsで、MP3のみVBR(可変ビットレート)もサポートしている。MP3やWMAのCD-R/-RWを作成するときは、一般的なISO9660のフォーマットでいい。
↓電源は再生ボタンと共用。液晶表示部は、ボタンを操作するとオレンジのバックライトが点灯する
MP3/WMAを記録したCD-R/-RWの場合、再生ボタンを押すと、まずCD内のファイルとフォルダを検索するため、音が出るまで数秒かかる。再生モードは、全曲再生のほか、フォルダ内の繰り返しや1曲繰り返しもサポート。ランダム再生やイントロ再生も可能だ。プレイリストはサポートしていない。
ステレオスピーカーは4センチ径のフルレンジタイプ。音質面で通常のオーディオ機器と比較するのは可哀想だが、小さなスピーカーにありがちな音割れはなく、破綻は少ない。イコライザーの効き方も“まずまず”で、「Rock」や「POP」はスピーカーサイズに似合わないパワフルな音を聞かせてくれる。気になるのは「BASS」にすると低音以外が極端に抑えられてしまうことくらいだろうか。
液晶画面は4段構成になっていて、再生モードや楽曲タイトル、フォルダナンバーなど情報量も豊富だ。MP3/WMA再生時には、楽曲タイトルが右から左へ流れる。ただし、表示できるのは半角英数字のみ。漢字やひらがな(2バイト文字)は全部「※※※」になってしまう。また、ファイル名ではなくID3タグを読む仕様のため、ID3タグが入っていないとタイトル名が表示できない。
もっとも、これらの制限は、CD-R/-RWの書き込み時にちょっと注意するだけで解消できるだろう。たとえば、プレイリストの代わりにフォルダ分けしておき、フォルダ名は半角英数で記述する。その日の気分でフォルダを選択すれば、プレイリスト感覚で使用できる。
お風呂用オーディオプレーヤーの中にもフラッシュメモリを使用する製品が増え、CD-R/-RWでは古くさいと感じる人もいるかもしれない。しかし、700Mバイトが十円単位で購入できるCD-Rはコスト面で遙かに有利。また使用環境の特殊性を考慮すると、フラッシュメモリやポータブルオーディオプレーヤーを入れるタイプより、安いCDメディアを使うほうが安心できる。
容量面も十分だ。たとえば128Kbps/48kHzならCDアルバム10枚分は入るわけで、入浴に1時間かける人が毎日聞いたとしても、一周するのに1週間程度はかかる。前述のようにバッテリーも6時間以上もつから、たとえば、週末に充電やメディアの入れ替えをするようにすると、忙しいウィークデーは全く手間をかけず、毎日、優雅なバスタイムを楽しめる(ただし、湿気の多いバスルームに置きっぱなしにしてはダメ)。
――毎日お風呂で音楽を聴きたいけど、なるべく手間はかけたくない。MP3/WMA再生に対応した「AV-J179」は、そんな忙しい人たちのライフスタイルに合った防水CDプレーヤーといえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR