「少なくとも最初の製品には入りません。それ以降に関しても、青山のソニー・コンピュータエンタテインメントにソニーから開発者が行き、どのような応用が出来るかを検討していますが、実際に録画機に入れるか否かは決めていません。もし入るとしても、2007年末ぐらいの製品からになるでしょう」
――以前、ソニー・コンピュータエンタテインメントの久夛良木健社長兼CEOは、CELLのパワーでHDD内の映像品質を分析・高画質化する“熟成”というコンセプトについて話していました。時間軸方向に映像を見ていき、高解像化や高画質化、高音質化を行うというものですが、具体的に何か開発は行っているのでしょうか?
「研究開発のレベルで取り組んではいますし、実際にかなり良い線まで品質を上げることができています。時間をかければかけるほど良い結果が出せますが、製品への採用となるとまだ見えていません」
――ほかのBDA参加ベンダーに対するソニーの強みとは何でしょう?
「もっとも大きな強みは、ブルーレーザーを自社で生産できることでしょう。その時点で作れるレーザーダイオードの特徴・特性に合わせてピックアップの設計を行えます。ブルーレーザーの生産技術は日亜化学と共同で開発しているもので、相互に同じものを作ることができます。現時点光ディスク向けに青紫レーザーダイオードを供給できるのは、日亜化学とソニーだけです」
――今年のCESでは、ソニーブースでは映像制作の現場から製作用ツール、ソフトウェア、放送機器、カメラ、ディスプレイ、レコーダーなど、プロからコンシューマーまで、さまざまな分野でハイビジョン対応製品を提供できる点をアピールしていました。このあたりも強みとなりますか?
「入り口から出口まで、ワンストップでHDに関連するあらゆる製品と技術を提供できます。キーデバイスはもちろん、ディスク製造も手がけていますし、映像ソフトを制作するオーサリングツールも提供します。垂直統合が可能なビジネスモデルを持っていることはソニーの強みといえます」
――BD向けオーサリングツールは、これまでソニー・ピクチャーズ内部で開発し、利用していたはずですが、今回は外販を行うのでしょうか?
「各社により良いBDのソフトを制作してもらう必要がありますから、各オーサリングハウスに対してソニー・ピクチャーズ自身が販売する予定になっています」
――BD-ROM関連で話題に上ることが多いディスク製造に関してはどうでしょう。
「ディスク製造は、静岡のラインが稼働するほか、ハリウッドでも生産を開始します。第1世代の製造ラインは、以前にお見せしたフィルムでカバー層を生成するものですが、第2世代からはスピンコート方式となります」
「歩留まりに関しては、われわれではなく実際に製造担当している部署が答えるべきでしょうが、初期のBDタイトル出荷に十分な数値にまで上がってきました。2層に関しても、十分にリアリティのある数字が出ていますし、実際にソニー・ピクチャーズは2層BD-ROMを2タイトルで採用することを発表しています」
――初期のタイトルは1層が多くなるようですが、コーデックは何が採用されるのでしょう。
「初期段階はMPEG-2を用いますが、その後は徐々にH.264へと移行していきます。日本のコンテンツベンダーからもいくつかのタイトルが発表されており、ハリウッドコンテンツだけでなく、徐々にHDへの移行が進むことになるでしょう」
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