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2つの規格をアグレッシブにサポートするWarner次世代DVDへの挑戦(3/3 ページ)

» 2006年02月07日 12時22分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 「ビットレートは把握していませんが、デジタルメディアエクスチェンジ(Warner子会社のポストプロダクションスタジオ)にてVC-1で制作しています」

 Sony Pictures Entertainmentは18Mbpsでも可変ビットレートならば十分と判断した。VC-1は再生負荷が低いものの、現時点でリアルタイムエンコーダが存在しないという点ではH.264と同様の状況にある。

 「MPEG-2はもう古い。ビットレートを上げれば高画質ですが、低ビットレートでは歴然としたアドバンストコーデックとの違いがあります。HD DVDとBDの両方をサポートするため、BDの2層を使ったとしても、結局はHD DVDの30Gバイトに合わせて圧縮を行わなければなりません。となれば、低ビットレート時に優位なVC-1かH.264のいずれかしか選択肢はありません。将来的には低ビットレート時の画質と生産性を改善し、HD DVD9あるいはBD9として大量にソフトを発売したいと考えています」

 HD DVD9とは、HD DVDのアプリケーションフォーマットを踏襲しつつ、DVD2層ディスクに記録する規格のことだ。またBD9も同様にDVD2層と同じ物理フォーマットに対して、BDと同じアプリケーションフォーマットを採用したもの。ワーナーがBDAに加盟した時に、要望が出されて規格に追加されたものである(あくまでVideo規格なので、現時点において記録型で利用できるわけではない)。8Mbpsまで圧縮し、およそ120分の映像を収める。

 「DVD9にアドバンストコーデックのロービットレートで映像を収めるというアイディアは、HDソフトの立ち上げ時、普及を促すために考えたものです。当時、HD DVD9だけに対応する数10ドルの安いプレーヤーを作り、大型のHDTVのおまけとしてバンドルするということを考えたのです。50万円のプラズマに50ドルのプレーヤーならコスト的にも合います」

 「ただ、誤解しないでほしいのですが、これはあくまでもローコストオプションです。短編映画には使いますが、長編映画には使いませんし、青紫レーザーダイオードを用いたプレーヤーが不要という意味ではありません。青と赤、レーザーによる区別は不要で、コンテンツの長さによって適した方を選べばいいという考え方です。たとえば子供用映画は短く安くなければなりません。“トムとジェリー”の短編を入れたディスクを500円で売りたいといった時に、HD DVD9やBD9を使うのです」

 なお、発売するタイトルのビットレートは、映像がVC-1の12Mbps程度になるだろうとのこと。これは“ゴールデンアイ”と呼ばれる、映画業界で画質評価を担当している技術者のテストを行った結果を反映したものだと横井氏。テストでは7〜9Mbpsで、十分に高い画質が得られ、大画面投影でノイズを複数人で探すほどの仕上がりになったという。

 一方、音声は「新作や音声のマスターが残っている作品に関しては、ドルビーTrue HD(ロスレス圧縮コーデック)を全面的に採用する」と、非圧縮ではないモノの、かなり期待できそうだ。

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