大観山パーキングから芦ノ湖へ向かう。利用する県道75号線は山間を縫って走るため、ワンセグ放送の受信もかなり厳しい。大観山パーキングほど受信状態が悪いわけではないが、映像もとぎれがちだ。アナログ放送の場合、受信状態によって映像はダメでも音声は入るというケースがあるが、ワンセグ放送はデジタル放送なので、受信状態が悪いと音声もまったく入らない。
芦ノ湖に到着したが、移動中はもちろん、停車時もまったく受信できず。遊覧船などもあり、観光地としても有名な場所だけに意外だった。そのまま県道を北上し、仙石原から国道138号に入るあたりで状況は一時的に回復したが、乙女峠に差し掛かるあたりでまた受信できなくなった。
御殿場市内に入り、東名高速御殿場ICそばにあるアウトレットモール「御殿場プレミアム・アウトレット」の駐車場に車を止めたが、ここでもまだ受信はできなかった。その後、御殿場ICから東名高速に入ったが、中井PAが近づくまで受信状態が回復することはなかった。受信状態が回復してから都内までは一部のトンネルをのぞいて映像がとぎれることはなく、高速道路で流れに乗って走行している分には、映像に乱れやノイズは見受けられなかった。
地上デジタル放送推進協会(D-Pa)が公開している資料によれば、2006年4月時点における関東地方のワンセグ放送カバーエリアの西端は、飛び地となっている甲府市内を除いて、小田原の手前あたりとなっている(PDFファイル)。
芦ノ湖が放送エリア外だったことは資料の通りだが、実際に走行してみた限りでは、資料よりも少しだけ広いエリアでも受信可能といえそうだ。受信可能なエリアにいれば走行中でも映像にブレやノイズはほとんど見られず、アナログ放送でよく見受けられた「受信はしているけれど鮮明ではない」というもどかしさはない。ただし、それだけに放送自体の解像度が低いのは残念だ。
現在、ワンセグ放送は320×240ピクセルと320×180ピクセルという2つの解像度で放送が行われているが、今回のように7V型や11V型といったサイズのディスプレイでは解像度が高い(カーテレビでは800×480の解像度を持つものも多い)ためにどうしても拡大表示されてしまい、フォーカスが甘くなってしまう。
今回試用した製品を販売している松下電器産業も「カーテレビのメインはあくまでも(12セグメントの)地デジ。ワンセグは(12セグメントの)地デジが受信できない場合の一時的なリリーフ」としており、車内でデジタルのきれいな映像を楽しむと考えると、確かにその通りだと感じる。
携帯電話やPDAでの利用ならば現在の解像度でも問題ないが、より大型の液晶を備える車載機器やポータブルテレビ/DVDプレーヤーでの視聴を考えると、やはり不満は残る。フルHDとまではいかなくとも、せめてD1レベルで放送してくれればデジタル放送のきれいさを実感できるのに――そう思った今回の実走調査だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR