今回は、新機能である携帯電話からの予約機能は検証することができなかった。検証時点では対応する携帯電話がNTTドコモの「SO902i」のみで、残念ながらSO902iが準備できなかったのだ。ただし、この機能も録画予約がほぼその場で反映されるなど、良くあるEメールを利用したリモート予約サービスとは一線を画す。また対応携帯電話もFOMAを中心に今後拡大するようだ。
リモート録画予約が即座に反映されるという点では松下電器産業の“DIGA”「DMR-E500H」もしくは別売の「ブロードバンドレシーバー」との組み合わせで実現しているが、DMR-E500H以降は、この機能を内蔵する製品はリリースされておらず、あまり積極的ではない。対して今回投入されたスゴ録では3モデルとも対応、つまり標準搭載的な機能となっており、今後の製品でも継続的に搭載することに期待したい。
本製品はデザインや型番からはいかにもマイナーチェンジに見える。しかし高速転送も可能なPSP連携、比較的自由度の高いホームサーバ機能が追加されたことで、ソニー製品らしさが一気に増した感がある。もちろん「スゴ録」は最初に「おまかせ録画」機能を搭載したDVDレコーダーであり、十分ソニーらしい製品ではあったが、あくまでスタンドアロンで利用する位置付けだった。今回は、DTCP-IPにもしっかり対応し、デジタル放送の配信も可能にしている点は、他社に先行してPCやDMAでもDTCP-IP対応を進めていたソニーならではといえる。
もっとも基本的な部分で改善して欲しい部分もある。たとえば、高速ダビングであってもダビング中には相変わらず予約録画が実行できないこと。デジタル放送対応の製品ではおのずと高速ダビングの頻度は減るとは思うが、日立製作所“Wooo”「DV-DH1000D」のように等速ダビング(MPEGエンコードしながらのダビング)でもTS録画であれば可能な製品が存在することを考えると、この点はなんとかしてほしい。DVDレコーダーの自動録画機能としてはもっとも優秀といえる「x-おまかせ・まる録」を有効活用するためにも重要の部分ではないだろうか。また、この時期の製品であれば、上位製品のみでもいいからi.Link経由でのMPEG2-TS出力もサポートしてほしかったと思う。
また、デジタル放送取り扱いのガイドラインに従っただけとはいえ、やはり「PSP」への転送が一方通行の「ムーブ」である点は残念だ。音楽配信ではメモリースティックと双方向でのムーブ(チェックイン/チェックアウト)が可能になっていることを考えれば、同じ理屈がデジタル放送に当てはめられてもおかしくはない。
DVDメディアの場合、CPRMによる暗号化がメディア毎の固有コードのみに依存するためDVDメディアからのムーブが行えないのは仕方がないが(DVDからの逆ムーブを認めると、PCをうまく使えば複製ができてしまう)、メモリースティックやSDカードなどはそうではない筈だ。ぜひソニーにはARIBにも積極的に働きかけを行い、デジタル放送をより便利に楽しめる方向に持っていって頂きたいと思う。もしスゴ録にオリジナルを残したままPSPへムーブ、PSPからスゴ録へムーブするとオリジナルが再度再生できるといった製品になれば、ぐっと魅力的な製品になることは間違いないのだから。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR