ITmedia NEWS >

いろいろ詰めこんだスタイリッシュな“ポータロウ”――東芝「SD-P50DT」ワンセグ搭載の黒い奴(2/2 ページ)

» 2006年12月19日 14時57分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
前のページへ 1|2       
photo リモコン

 さて、注目のワンセグ放送を視聴してみよう。同機の場合、動作モードの変更には「入出力切換」ボタンを使う。これを押すたびに「ノーマル」(DVD再生)、「AV出力」「AV入力」「テレビ」とトグル動作で切り替わる仕組みだ。

 最初にテレビに合わせたときにはチャンネルスキャンを行い、受信可能なチャンネルを自動的に登録してくれる。登録後は、方向キーの上下でチャンネル変更が行えるほか、「メニュー」ボタンで放送局一覧を呼び出すことも可能。付属のリモコンを使えば数字キーでダイレクト選局も行える。

 そのほかワンセグ関連の機能では、放送局単位のEPG(電子番組表)や番組内容の表示、字幕表示などに対応している。携帯電話や「gigabeat」のような録画機能は搭載していないが、少なくとも視聴に関して不足はない。

photophoto チャンネルリストと番組内容詳細

 ただ、内蔵アンテナの感度は“もうひとつ”だ。以前、他社製品をレビューしたときには、似たような簡易アンテナで6局を受信できたのだが、今回は同じ環境でチャンネルスキャンを行っても2局しかヒットしなかった。外部アンテナを取り付けてみると6局すべて入ったから、やはり問題は内蔵アンテナ。電波の受信状況は場所によって異なるが、使う場所は選ぶかもしれない。

 画質はどうだろう。ワンセグ放送はもともとQVGA(320×240ピクセル)と低解像度のため、PCのような大きな画面では荒さが目立ち、携帯電話のように小さな画面ではテロップなどを読むのが難しい。一方、「SD-P50DT」の液晶パネルは5V型で400×234ピクセル。縦方向の解像度が若干足りないものの、携帯電話より一回り大きく、映像ソースに近い解像度に期待が持てる。

photophoto 字幕や通常のテロップは問題なく読めるが、スポーツ中継の得点表示など細かい文字は厳しい

 実際に見てみると、ドラマや映画のように元の画質がいい素材は十分に綺麗だ。しかし、やはり情報量の不足は否めず、たとえば生放送のスポーツ中継などは少しつらかった。たとえば先日のクラブワールドカップでは、ちょっとロングショットになると選手の顔や背番号は判別できない。また画面左上の得点表示もツブれてしまい、途中から見始めたのですぐには状況がわからない。サイマル放送では仕方ないと思う反面、テロップなどは放送局側がワンセグにも配慮してほしいと感じた次第だ。

 一方、期待以上だったのが音質。前述のようにSD-P50DTはスピーカーを内蔵しておらず、音を出したいときにはクレードルを使用するのだが、これがサイズに似合わない本格的な音を出してくれる。ポータブルプレーヤーの付属スピーカーといえば、サイズが小さく、簡易的なものと思われがちだが、同機の場合はテレビなどと比べても遜色ない。

 音響効果は「ノーマル」と「3D」を選択可能。スピーカーの間隔が狭いためか、ノーマル時にはモノラルっぽく聞こえるのだが、それも画面から音が出ているかのような効果がある。また3Dにすると途端に広がるため、ニュースやドラマなどの場合はノーマル、音楽番組や映画は3Dと使い分けると丁度いい具合だ。

DivXを正式サポート

 ワンセグばかりに目がいきがちだが、SD-P50DTは非常に多機能なメディアプレーヤーでもある。DVD再生では、DVDビデオ、DVDーAudio、DVD-R/-RWの再生をサポート(CPRM対応)。また、CDやDVDメディアに記録したMP3やWMA、JPEG、さらにDivX動画の再生も可能だ。CDやMP3はクレードルの内蔵スピーカーで結構楽しめる。

 前述のように、DVDの再生画質は優秀で、解像感も十分だ。またバックライトはLEDのため、画面に明るさにムラがなく見やすい。画面を反転させる機能は必要性をあまり感じないが、おそらくデコードチップが装備している機能が残っているのだろう。

photophoto CD/DVD-Rに記録したMP3やDivXを再生できる。DivXでは早送り/早戻しといった操作もストレスなく行える

 「SD-P50DT」は、多くの機能をコンパクトにまとめたスタイリッシュなポータブルDVDプレーヤーだ。もともと多機能な「ポータロウ」シリーズだが、ワンセグという新たな武器を得て、パーソナルな“AVコンポ”としての魅力がアップした。私室に一台あれば重宝するだろうし、650グラム(本体)という重量はモバイル用途にも無理なく適応できる。電車内では少し目立ちそうだが、出張時のお供や車載用プレーヤーの素養は十分だろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.