ITmedia NEWS >

アクトビラ「デジタルテレビの標準サービスになりたい」

» 2007年02月06日 20時14分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 デジタルテレビ向けポータルサービス「acTVila」(アクトビラ)を運営するテレビポータルサービスは2月6日、関係者向け説明会を開催し、サービスの開始されたアクトビラの狙いや今後のプランについて説明した。

 アクトビラは2月1日に開始された、デジタルテレビへブロードバンド回線を利用して情報や映像などを配信するサービス。利用には対応テレビが必要となるが、松下電器産業の「Tナビ」対応テレビならばそのまま利用できるほか、日本ビクターの「エグゼ」(LC95シリーズ)やソニーの「BRAVIA」(X 1000シリーズ)ならば利用できる。今後も各社から対応テレビが発売される見込みだ。

photo アクトビラのサービス画面(画面は天気案内)

 まずは静止画とテキストによる情報提供が行われ、2007年度内はVoDによる映像配信サービス、2008年度内にはコンテンツダウンロード/蓄積型サービスが提供される予定となっている。インターネットをインフラに利用するが、提供されるコンテンツは独自のものとなっており、サービスはアクトビラ内で完結するスタイルとなっている。

 開始時に用意されているのは、「ニュース」や「天気」「株価」のほか、「番組案内」音楽や映画、DVDなどを紹介する「エンタメ」など。インタフェースもPC向けのWebサイトに比べ文字を少なく、画像やイラストを多用しており、ビジュアルを重視する方向で作り込みがなされている。コンテンツ数は現在約60だが、3月中には約100まで拡大される予定だ。

photophoto トレンド情報を紹介する「噂の逸品」(左)、TSUTAYA online提供の映画情報(右)。文字や画像はデジタルテレビに一般的に搭載されているBMLブラウザへ送信された情報を表示してるだけだが、機器認証が行われており、対応テレビ以外での試聴は不可能

 テレビを出力インタフェースとするサービスにはテレビ放送のほか、CATV、デジタル放送のデータ放送が存在するが、テキストと静止画しか情報提供の手段を持たず、コンテンツも完全にそろっていない現時点のテレビポータルにはこれらに比べて、飛び抜けた特徴的なサービスではないといえる。

 これについては同社も「現時点で、機能として飛び抜けたものが提供できるとは思っていない」と認識しており、利用してもらうためには「まずはコンテンツの充実を進める」としている。サービス開始直後ということもあり、どのような種類のコンテンツを充実させていくかは試行錯誤しているというが、「動画配信が開始されれば大きくステップアップ」する(同社 代表取締役社長 大野誠一氏)と期待する。

 動画配信については3月末の完了を目標に仕様策定が進められており、コーデックにはMPEG-2ないしMPEG-4 H.264が用いられる見込み。独自のDRM(コード名:Marlin)も実装される予定だ。ただ、現在のアクトビラ対応テレビでは動画配信には対応できず、対応テレビが必要となる。

photophoto

 これまでにも「Tナビ」や「TVホーム」といったテレビ向けネットサービスが提供されてきたが、アクトビラでは「インタフェースに違いがある」という。同社では既存サービスについてPC向けWebサイト的なつくりから脱却できていなかったと分析しており、アクトビラではより「テレビ的なインタフェース」を実装し、少ない操作でどれだけの情報が得られるかに注意したという。

photo テレビポータルサービス 代表取締役社長 大野誠一氏

 「家庭内で固定的に使われるテレビというデバイスを使うので、PCとは利用するタイミングや時間帯が異なるほか、複数人数で見るようなスタンスがあることに注意し、PC向けWebサイトとは異なるスタンスで提供することが必要だと考えた」(大野氏)

 また、各種の放送サービスはもちろん、レコーダーやプレーヤー、各種ゲーム機、円筒形VAIO「TR1」などのPCもデジタルテレビを出力先としており、さながら画面争奪戦の様相も呈しているが、大野氏はアクトビラとそれらは競争関係にはならないという。

 「アクトビラは標準的な市販テレビすべてに提供できるサービスであり、デジタルテレビの標準的なサービスになりたいと考えている。各種レコーダーやプレーヤー、ゲーム機、パソコンなどテレビに接続できるさまざまなデバイスが存在してるが、それらとも共存していける」(大野氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.