トヨタ自動車は7月25日、プラグインハイブリッド車「トヨタプラグインHV」の実用化と、同車が国土交通省より大臣認定を取得したことを発表した。
プラグインハイブリッド車が公道の走行を許されるのは初めて。トヨタは8台の車両を使って公道走行試験を3年間行い、各種のデータ収集を行う。また国内だけでなく、米国やヨーロッパでも公道走行試験を実施予定だ。
プラグインハイブリッド車とは、家庭用の電源で充電できるハイブリッド車のこと。近距離は電気自動車(EV)として、遠距離はハイブリッド車として走ることができる。電気自動車とハイブリッド車の“いいとこ取り”をしたクルマといわれる。
トヨタの「プリウス」など現在のハイブリッド車は、エンジンやブレーキを使って走行時のエネルギー回生(走行エネルギーからの充電)を行っているが、プラグインハイブリッド車ではこれに加えて、家庭用電源からの充電が可能になる。従来のハイブリッド車ではエンジンをかけ、ガソリンを使わないと発電できなかったが、プラグインハイブリッド車なら、充電してモーターを動かし、ガソリンを使わずに電気自動車として乗ることができるのだ。
トヨタではこれまでも「RAV4」などの車種で、電気自動車を販売してきた。しかし、充電に専用の設備が必要、航続距離(1回の充電で走れる距離)を伸ばすのが難しい、航続距離がバッテリー容量によって決まるため大型のバッテリーを積まなくてはいけない、コストが高くつくといった課題があり、普及には至らなかった。
一方でハイブリッド車の販売は世界的に伸びており、トヨタ製ハイブリッド車の販売数は累計で100万台を突破した。2010年代の早い時期には、年間100万台の販売を目指す。
開発の背景にあるのは、環境への問題意識だ。プラグインハイブリッド車は、ハイブリッド車と電気自動車の長所を併せ持ち、ガソリンだけを使うよりもCO2排出量を抑えることができる。プラグインハイブリッド車では、ガソリンと家庭用電源を併用するため、ガソリンのみで走る車よりも燃料費を抑えられる。特に安い深夜電力を使った場合は、ガソリンのみの場合に比べて約41%コスト削減できるとトヨタでは試算している。
今回発表された「トヨタプラグインHV」は、現行のプリウスをベースに開発したものだ。「制御用のソフトウエアと、バッテリー容量が違うくらい、あとはほとんど同じ」(トヨタ)
トヨタプラグインHVでは、1回の充電で、13キロメートル程度走れる。EVモード時の最高速度は時速100キロメートル。充電にかかる時間は、家庭用100ボルト電源で約3〜4時間、200ボルトの電源であれば1〜1.5時間で充電が完了する。
搭載しているバッテリーはニッケル水素電池で、容量13アンペア。プリウスに積んでいる6.5アンペアの2次電池と同じものを、2セット搭載した。電池容量の向上に従って、ガソリンエンジン+電気モーターの最高出力も現行プリウスより向上している。
トヨタではプラグインハイブリッド車を、従来の電気自動車の課題を解決する技術と見て期待している。「プラグインハイブリッドは、石油に変わる代替燃料を使う新しい時代の第一歩だ」(トヨタ自動車副社長の瀧本正民氏)
今回発表されたトヨタプラグインHVをベースに、航続距離の向上などさらに開発を進め、近い将来プラグインハイブリッド車を販売する予定だ。
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