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黄金分割でワンランク上を狙う脱フルオートの道 第11回

» 2007年09月19日 16時00分 公開
[小山安博,ITmedia]

 これまで説明してきたように、写真撮影にはさまざまなテクニックがある。こうしたテクニックは、写真を何枚も撮影し、写真に慣れれば慣れるほどより上達するもの。そうして撮影に慣れてくるとより楽しくなってくる。意図した写真が撮れれば、もう初心者脱出といえるだろう。

 しかし、この段階まで来ると悩む機会が増えるのが「構図」だ。写真撮影における構図というのは、写真の中にどのように被写体や背景を配置するか、という画面構成のことを指す。記録という意味では必要なものが写っていれば十分なのだが、ちょっといい写真を撮りたいと思ったときは、構図を気にして撮影するといい。

黄金分割で構図を決める

 構図の基本は、主題となる主被写体をいかに強調し、それ以外をバランスよく配置するか、ということになる。漫然と撮影するのではなく、何を撮りたいのかを考えながら撮影することが重要だ。

 俗に言う「日の丸構図」は、主被写体を真ん中に置く構図で、記念写真によくあるのだが、写真としては平凡なものになりがち。日の丸構図が悪いわけではないが、まずは意図的に日の丸構図とならないよう撮影してみるといい。

 一般的に安定した構図の決め方としていわれるのが「黄金分割」と呼ばれる手法だ。人が最も美しいと感じるという約1:1.618(5:8)を「黄金比」というが、この比率にもとづいて分割することを黄金分割と呼ぶ。

 構図の黄金分割でよく言われるのが、画面の縦横をそれぞれ3等分し、それぞれの線が交わる4つの点のどこかに被写体を配置する「3分割法」で、これはバランスのいい安定した構図とされる。最初は、この3分割法を意識して撮影するといい。

 多くのコンパクトデジカメにはこの3分割法に従って液晶画面に格子線を表示する「グリッド」機能を備えているので、それを参考に、縦横の線が交差するポイントに被写体を配置していくと見栄えのいい写真ができあがる、というわけだ。

photophoto 3分割法をいかした構図

 グリッド表示で3分割法を意識すると、画面の水平を撮りやすくなることもメリット。建物や水平線のような直線を撮影する際、水平にならずに傾いて撮影してしまうのはよくあることだが、こうした写真は不安定感を感じさせてよくない場合が多い。グリッドの直線にあわせると水平がきちんと出せるので、このあたりも注意しておこう。

photo 多くのコンパクトデジカメではグリッドと呼ばれる格子線を液晶画面に表示できる

 水平線を撮影する場合といえば、海と空の割合をどうするか、というのも悩みどころだが、これも3分割法で解決できる。夕焼けに染まった海を撮りたいのか、白い雲と青い空を撮りたいのか、主題を決めたら、3分割法に従って画面の3分の2を海にしたり空にしたりすればいい。

 こうした構図の基本テクニックはほかにもいくつかあり、建物を見上げて撮る場合のように、画面内に三角形を置くイメージで被写体を配置する「三角構図」、画面の対角線上に被写体を配置する「対角線構図」、被写体をS字に配置する「S字構図」などがある。

 注意して欲しいのは、構図にこれという正解はないこと。紹介した構図もひとつの参考として頭にストックしておき、状況や被写体によって常にベストのアングルを探ることを忘れないようにしよう。ただ、こうしたポイントを頭に入れておく撮影をしていくことで、写真がより良くなっていくことだろう。

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