東京・有明の東京ビッグサイトで環境に配慮した製品や取り組み、サービスなどを紹介する展示会「〜地球と私のためのエコスタイルフェア〜エコプロダクツ2007」が開幕した(関連記事:“新しい価値観”を提案するエコプロダクトたち)。9回目の開催となる今回は過去最大の632社・団体が参加、内容も単なる展示にとどまらず、参加型セミナーやエコカーの試乗、スタンプラリーなど多岐に渡っており、アミューズメントイベントのような賑わいを見せている。
環境への配慮が特別なものでなくなっている今、AV製品も「高画質・高音質だから環境面への配慮はナシ」といった理屈は通らない。消費電力の抑制からリサイクル素材の積極利用、製造・運搬時の環境負荷低減など、各社がさまざまな手法で「環境性能」の向上を図っている。会場で各社の取り組みを取材した。
シャープは液晶テレビ“AQUOS”の環境性能をアピール。現行のAQUOSでは、無鉛ハンダや六価クロムを含まないビスの採用、リサイクル素材の積極的な利用、パッケージの小型化による輸送効率の向上など、「徹底した環境への取り組み」(同社)を行っているという。なかでもリアキャビネットは強度劣化しにくく、回収・クリーニング後にそのまま再利用可能な素材が利用されており、「使用済みのAQUOSから、新しいAQUOSが生まれる」という循環型リサイクルが可能となっている。
消費電力の低減も薄型テレビの大きな課題。52V型の液晶パネルを搭載する「LC-52GX4W」「LC-52GX45」の消費電力(年間消費電力量)は273kWh/年だが、同社が2010年の量産開始を目指して開発を進めている次世代液晶(→シャープが“次世代液晶テレビ”を公開)では、52V型と同サイズながら消費電力は約半分の140kWhまで低減されている。しかも画面輝度はLC-52GX4W/LC-52GX45の450カンデラ/平方メートルから500カンデラ/平方メートルへと向上している。
大きな液晶画面を明るくするためには、バックライトをより明るいものへ変更するのが手っ取り早い。しかし、明るいバックライトは消費電力も大きい。次世代液晶の技術的な詳細については明らかにされていないが、バックライトそのものの見直しや光拡散制御技術などによって、画面輝度を向上させながらの低消費電力化を実現したものと思われる。
利用時の消費電力を抑えるというアプローチをより積極的に打ち出し、展示しているのが三菱電機。液晶テレビの「REAL」シリーズの現行製品は、主電源「切」時にはコンセントからプラグを外さずとも消費電力がゼロになる設計となっている。また、明るさセンサーによるバックライト輝度の自動変更機能も備えており、最も輝度が落ちた状態ならばその消費電力はカタログ値(52V型の「LCD-H52MZW75」では270kWh/年)の約半分まで低下するという。
一方、メーカーとしてトータルの環境貢献を強くアピールしているのがパナソニック。ブースには42V型のパネルを8枚取りできる大型マザーガラスや、小回りこそトラックの及ばないもののトータルとして見た際により運搬時の二酸化炭素排出量が少ない貨物列車の利用、ブラウン管テレビの樹脂をリサイクルした液晶/プラズマ用部品などを展示。ブース内ツアーを行って来場者へ自社の取り組みを紹介していた。
ソニーはリサイクルで回収された同社テレビの廃プラスチックを原料にした、再生プラスチックをBRAVIAの2008年モデルから利用する。廃プラスチックの再利用に際しては、樹脂に含まれる難燃剤の変更や使用の制限、素材の統一、解体性の向上といった「下準備」が必要になる。リサイクル素材の導入開始が2008年と聞くと取り組みが遅いように思えてしまうが、そうした準備が完了しての満を持しての開始といえそうだ。
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