シャープは1月24日、液晶テレビ「AQUOS」の新製品3シリーズ20機種を発表した。中でも注目は、最も薄い部分で3.44センチという“超薄型”のプレミアムモデル「Xシリーズ」。昨年末に登場した日立の「UTシリーズ」と0.6ミリ差の「業界最薄」だ。
Xシリーズは、37V/42V/46V型の3サイズで、いずれも3月1日発売。価格はオープンプライスだが、店頭では37V型の「LC-37XJ1-B」が35万円前後、42V型の「LC-42XJ1-B」が43万円前後、46V型の「LC-46XJ1-B」は48万円前後になる見込みだ。
チューナー部とディスプレイ部を分離したセパレート式を採用。ディスプレイ背面にはアルミ飾りパネルを設けるなど、どこから見てもインテリア性の高いデザインを目指した。また、薄いディスプレイを生かして画面が浮いているように見える「フローティングスタンド」や専用ワイヤレスオプション、壁からテレビ前面までの距離が5.85センチの“壁ビタ”設置が可能になる専用壁掛け金具なども用意する。
液晶モジュールは、液晶パネルとバックライト光学系の新規開発により、従来比50%の薄型化に成功した。CCFL管とパネルの距離が短くなることによって発生する輝度ムラは、新開発の「パターン拡散シート」で解消。回路部もチューナー部のセパレート化や低背部品の採用、電源基板の新規開発などによって薄型化を図った。
放熱に関しては、3次元シミュレーション解析と、その結果を踏まえたレイアウトの最適化により、ファンレスの自然対流構造を実現している。「液晶パネルからテレビ本体まで、独自開発だからできる融合設計だ」(同社)。なお、薄いAQUOSというと昨年8月に公開した“次世代液晶テレビ”を連想するが、今回のXシリーズは昨年7月に登場した厚さ8.1センチの「Gシリーズ」の技術を発展させたものだという。
パネル解像度はいずれも1920×1080ピクセル。動画ボケを抑える倍速駆動はもちろん、バックライトの明るさと液晶の開口率を制御してコントラストを向上させる技術を搭載した。例えば暗いシーンではバックライトの光量を減らし、液晶の開口率を上げて透過する光の量を増やすことで、黒つぶれがなく、奥行き感のある映像を作り出す。
また、人の視覚特性を利用した独自アルゴリズムを備えた12ビットBDE(Bit Depth Expansion)が、RGB各色を12bit相当(4096段階)に拡張。グラデーションを途切れなくスムーズに表現するという。これらの技術により、パネル自体のコントラスト性能は2000:1ながら、「テレビセットとしては1万5000:1のコントラスト比を実現した」(同社)としている。
オーディオも強化した。今回はアンダースピーカーのみのラインアップとなったが、その代わり薄型の3Way8スピーカーシステムを新規開発し、得意の1ビットデジタルアンプと組み合わせた。スピーカーには薄型ながらも専用のキャビネット空間を確保している。
このほか、同社がスタンダードモデルと位置づける「E」シリーズ4機種、5色のカラーバリエーションを揃えたパーソナルモデル「D」シリーズ3機種を含む合計20モデルを発表した。
同社副社長の松本雅史氏は、2008年の重点施策として“壁掛け設置”をはじめとする新しい利用スタイルの提案と“省エネ対応”を挙げる。例えばDシリーズの「LC-32D30」は、年間消費電力量が120kWh/年。これは4年前に発売した「LC-32GD1」の半分という。またEシリーズの「LC-46EX5」でも215kWh/年。つまり「同じ画面サイズに買い替えるのなら5割の省エネ。46V型に買い替えても電気代は年間500円ほど安くなる」(同氏)。
とくに2008年は、7月の「北海道洞爺湖サミット」や8月の「北京オリンピック」などイベントが多く、テレビ買い替え需要とともに「高い環境性能を持つ製品への期待がますます高まる」と予測する。
「今回の3シリーズに既存のRシリーズ、Gシリーズを加えた5シリーズで五輪需要に対応する。またRとGに関しても、オリンピック前にリニューアルを加えるつもりだ」(同氏)。
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