デジタルフォトフレームは、7〜10インチ程度の液晶パネルを搭載した静止画表示装置。外観には携帯サイズの小型液晶テレビに通じる要素もあるが、フレームの素材にガラスや木枠を採用した製品が多く、電源ケーブルさえなければ旧来からある写真立てと区別できないほどの“らしさ”を備えている。
デジタル家電として見た場合の機能は、比較的シンプル。液晶パネルにメモリーカード(もしくは内蔵メモリ)から読み込みんだ画像を表示、そこへ画像を一定間隔で更新するスライドショー機能や、付属のリモコンで写真/アルバムを切り替える機能が搭載されていれば、デジタルフォトフレームとして成立する。デザインやカラーなど、インテリアとしての性質も表示機能以上に重視されるのは大きな特徴といえる。
製品として以前から存在していたが、ここ最近ではデジタルフォトフレームという製品カテゴリ全体が注目され、メーカー各社とも他社との差別化に力を注いでいる。ここでは、2008年前半に発売された機種を例に、そのトレンドを探ってみよう。
1つは、「マルチメディア強化型」。2008年4月に発売されたサムスン「SPF-83M」は、動画(WMV/AVI)と音楽(MP3/WMA)の再生に対応するほか、付属のDigital Frame Manager機能でPCのモニタとして使用することも可能だ。
もう1つは「低価格型」。セガトイズが4月に発売した「デジポッド」は、価格が3675円と同種製品の中ではかなり安価に設定されている。液晶画面は1.5型と小さく、取り込める画像は43枚までと機能は限定的だが、乾電池で駆動するなど他機種にない利点もある。プリンストンの「PPF-OVOシリーズ」もコンセプトは同様だが、こちらの電源はバッテリーで、充電が可能だ。
「写真閲覧」の高機能化を究めようという「本業特化型」に分類されるのが、ソニーが5月に発売した「CP1」。無線LAN経由でPCやホームサーバ上の写真を閲覧するだけでなく、インターネット上の写真共有サービス(Picasa、フォト蔵)にも対応する。
液晶パネルも光沢仕上げで色のメリハリがはっきりしているうえ、内蔵のセンサーにより部屋の照明を消すと自動的にスタンバイモードへ移行するため、写真だけが暗い部屋で浮かびあがる事態を回避できる。また、同社の「DPF-V900」はデジカメ“サイバーショット”シリーズにも搭載されている画像処理エンジン「BIONZ」の搭載で赤目修正やピンボケ補正を行う機能を備えており、こちらは「画質重視型」といえる。さまざまな特徴を持った製品が次々に登場しており、注目度の高いカテゴリといえる。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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