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三菱の「VISEO MDT221WTF(BK)」で3波デジタル放送を“ながら視聴”した魅惑のフル装備ディスプレイ

» 2008年11月19日 11時15分 公開
[ITmedia]

今度のVISEOは3波対応デジタルチューナーを搭載

「MDT221WTF(BK)」

 三菱電機の「VISEO」(ヴィセオ)は、AV入力端子を搭載したマルチメディア対応ディスプレイのブランドとして定評がある。昨今ではHDMIを備えたハイビジョン対応のモデルを積極的に展開し、PCのみならず、ゲーム機やAV機器も液晶ディスプレイにまとめて接続して活用したいというニーズに応えてきた。

 そのVISEOの新顔となるのが、「MDT221WTF(BK)」だ。VISEOとしては初めて地上・BS・110度CSデジタルチューナーを内蔵し、解像度1920×1080ドット/アスペクト比16:9の21.5型ワイド液晶パネルを採用することで、フルHD対応の液晶テレビとしても、高解像度のワイド液晶ディスプレイとしても使える製品に仕上がっている。ちなみに、PC向け液晶ディスプレイをベースに、3波対応のデジタルチューナーを標準装備した製品は業界初でもある。

 今回はMDT221WTF(BK)のテレビ機能を中心に、その特徴を写真とともにチェックしていく。製品概要については、発表会の記事も併せて参照してほしい。

16:9のフルHD液晶パネルに独自の画作りをプラス

 テレビ機能は地上・BS・110度CS放送はもちろん、データ放送にも対応している。PC向け液晶ディスプレイの色温度は6500Kが基本だが、テレビではもっと高い色温度が標準なので、そのままテレビ映像を映しても同じような印象にはならない。ガンマカーブの調整も異なる。そこでMDT221WTF(BK)ではPC画面とテレビ画面できちんと画作りを変えており、デジタル放送の視聴時にはテレビらしい高色温度で色がよくのった映像になる。

 PCディスプレイ向けの液晶パネルを採用している関係で、さすがに同社の大画面液晶テレビほどの高画質は望めないが、3次元I/P変換や3次元DNR(デジタルノイズリダクション)、コントラスト拡張機能のContrast Ratio Optimizer(動作時のコントラスト比は2000:1)、10ビットガンマ機能、用途別の画質モード(DV MODE)といった高画質技術も搭載し、テレビとしてもPCディスプレイとしても表示には安定感がある。

21.5型ワイドと手ごろなサイズながら解像度は1920×1080ドットと細かいため、表示は精細で密度が高く、コントラスト感も十分ある(写真=左)。テレビと同じアスペクト比の16:9パネルなので、上下に黒帯が発生せず、画面回りはすっきりしている(写真=中央)。チャンネル切り替えや音量調整、各種設定に使えるリモコンが付属する(写真=右)

内蔵スピーカーは小さいながらも一工夫

スピーカーは小型だが音質に配慮しており、テレビ視聴時に物足りなく感じることはない

 内蔵のステレオスピーカーは出力が3ワット+3ワットと小型だが、スピーカーユニットの特性や開口部の形状などが音質に与える悪影響を補正信号で打ち消す技術「DIATONEリニアフェイズ」も搭載している。ディスプレイ内蔵スピーカーにありがちなチープな音とは無縁で、映像に対して音が貧弱に感じることはないだろう。

 細かいところだが、「おすすめ音量」機能にも触れておきたい。これは、視聴中に小さくなったり大きくなったりする音量を制御して全体の音量バランスを一定の範囲に自動調整する機能だ。このおかげで、チャンネルを変えたら音量が突然大きくなって驚いた、といったシーンが確実に減る。地味ながら使える機能だ。

「ながら視聴」に最適なPinP & PoutP

 MDT221WTF(BK)は、PCで作業しながらテレビを見る“ながら視聴”の利用スタイルが一般に定着していることを受け、PCとテレビの2画面表示機能に対応した。2画面表示のスタイルはPinPとPoutPの2種類が選べる。特にPoutPでは親画面の解像度が1280×1024ドット(SXGA)に固定されるので、オフィスで一般的なSXGAディスプレイとしてテレビを見ながらPCの作業が行えるのがいい。

PC入力を親画面、テレビ映像を子画面に表示するPinPに対応し、子画面の位置は四隅、子画面のサイズは3段階に調整できる(写真=左)。リモコンのボタン1つで親画面/子画面の映像は切り替え可能だ(写真=中央)。PC画面の外側にテレビ映像を表示するPoutPでは、画面同士が重なり合うことがなく、2つの画面の映像全体を見たい場合に役立つ(写真=右)。

完全にテレビ感覚で使えるEPG

 電子番組表は最大8日ぶんまで表示可能だ。表示サイズの調整や視聴予約機能、ジャンル別の検索機能などを持つ。表示のレスポンスも待たされる印象はなく、液晶テレビと同じ感覚で利用できる。

EPGは表示サイズを2段階に調整できる(写真=左/中央)。リモコンの赤ボタンを押せば、視聴予約が可能だ(写真=右)

チャンネル別の表示やお気に入りチャンネルだけの表示にも対応する(写真=左)。番組は大ジャンル/小ジャンルで絞り込んで検索できる(写真=中央/右)

ルックアップモードでゴロ寝視聴も快適

 MDT221WTF(BK)は、PC向け液晶ディスプレイで主流のTNパネルを採用しているため、視野角は左右(170度)に比べて上下(160度)が狭い。通常はあまり気にならなくても、ソファにもたれかかったり、寝転んだ状態で画面を下から見上げると、色相が反転して見づらくなってしまう。

 そこで搭載されたのが新機能のルックアップモードだ。映像信号のガンマカーブなどを補正し、下から見上げる場合の色相反転を抑えることができる。TNパネルをテレビに使う場合の問題点を放置せず、しっかり補う機能を盛り込んできたのは好印象だ。実際に寝転んで視聴する場合、ルックアップモードの効果は非常に大きかった。

画面を下から見た例。左からルックアップモードがオフの状態、「ルックアップ1」の状態、「ルックアップ2」の状態だ。ルックアップモードは2段階に調整でき、「ルックアップ2」のほうが下から見た際の視認性がより向上する。もちろん、ルックアップモードを利用した状態で正面から視聴すると、画面がキレイに見えないので注意したい

2基のHDMIをはじめ、豊富なAV入力も用意

 豊富なインタフェースを取りそろえているのも魅力だ。入力された映像のサイズやアスペクト比に応じて、ドットバイドットや2倍拡大、アスペクト比を維持したまま拡大する機能も持ち、ハイビジョン対応のAV機器やゲームと手軽に接続して、表示方法を柔軟に調整できる。

AV入力端子はHDMI(PC入力可)×2、D5、S-Video(S2)/コンポジットビデオと充実している(写真=左)。左側面から手軽にアクセスできるのがいい。背面にB-CASカードスロットやテレビアンテナ入力、2系統のPC入力を用意(写真=中央)。プレイステーション 3で1080pに設定したところ、ドットバイドットできちんと表示された(写真=右)


 正直なところ、ディスプレイに詳しいユーザーの中には「テレビチューナー付きディスプレイ」と聞くと、PC用ディスプレイとしてもテレビとしても中途半端なイメージを持ってしまう人もいるのではないだろうか。しかし、このMDT221WTF(BK)に限っては一味違う。単にPC向けディスプレイにテレビチューナーを追加しただけでなく、同社が持つ液晶テレビ開発のノウハウを生かし、画作りや機能、使い勝手にこだわっているからだ。

 現状でこれほど充実したテレビ機能を有した液晶ディスプレイは存在せず、盛りだくさんの機能を凝縮して実売価格が8万円前後におさまっているのは見逃せない。書斎や寝室用にPCと接続できるセカンドテレビが欲しい人や、一人暮らしなどでテレビとPC用ディスプレイを1台で済ませたい人にとって、MDT221WTF(BK)はまさにうってつけの製品だ。

 なお、同社はよりゲームに特化したディスプレイとして、1920×1200ドット表示の24.1型ワイドモデル「VISEO MDT243WG」も用意している。こちらはテレビチューナーがないものの、VA方式の24.1型ワイド液晶パネルや進化した動画ボケ低減技術の「MP ENGINE II」を搭載し、ゲーマーの厳しい要求に応える製品だ。併せて検討してみるといいだろう。MDT243WGはこちらの記事(動画ブレ低減技術が進化:よりゲームに強くなった三菱の24.1型WUXGA液晶「VISEO MDT243WG」とは?)でも紹介している。

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