よりゲームに強くなった三菱の24.1型WUXGA液晶「VISEO MDT243WG」とは?動画ブレ低減技術が進化

» 2008年11月19日 16時45分 公開
[ITmedia]

人気モデルの3代目は何が進化した?

「MDT243WG」はクリアピアノブラックの光沢塗装を採用。非光沢のサテンブラックを用いた「MDT243WG-SB」も3000台限定で発売中だ

 三菱電機は11月7日、1920×1200ドット(WUXGA)表示に対応した24.1型ワイド液晶ディスプレイ「VISEO MDT243WG」を発売した。2系統のHDMIなど豊富なAV入力端子を内蔵したことに加えて、独自の動画ブレ低減技術も盛り込むことで、ゲーム映像の表示に特化した設計としている。

 同社が2007年6月に発売した「VISEO MDT241WG」、2007年12月に発売した「VISEO MDT242WG」に連なる3代目の製品であり、ユーザーの声を反映して仕様強化に努めているのが見どころだ。MDT241WGは国内で初めて登場した2系統HDMI搭載のフルHD対応ワイド液晶ディスプレイとして発売時に完売するショップが相次ぐほどの人気を誇り、モデルチェンジしたMDT242WGもヒットしたため、MDT243WGにも期待がかかる。

 ここではMDT243WGの特徴を写真とともに見ていこう。ちなみに、同時発売の地上・BS・110度CSデジタルチューナー搭載21.5型ワイド液晶ディスプレイ「MDT221WTF(BK)」についてはこちらの記事(魅惑のフル装備ディスプレイ:三菱の「VISEO MDT221WTF(BK)」で3波デジタル放送を“ながら視聴”した)で紹介しているので、併せてチェックしてほしい。

動画ブレ低減技術と画面の明るさを両立

 最大の特徴はやはり独自の動画ブレ低減技術だ。同社は初代のMDT241WGから黒挿入、バックライトスキャニング、オーバードライブ回路の各技術を最適化して動画ブレを低減する独自技術「MP ENGINE」を搭載していたが、3代目のMDT243WGではこれが「MP ENGINE II」に進化した。具体的には、バックライトシステムを改善することで、黒挿入とバックライトスキャニングに起因する明るさの低下を抑え、輝度を従来比で約20%向上している。

 これまではゲームをプレイする際、MP ENGINEの機能を適用する「MP MODE」を使うと、確かに動画の残像感は減るのだが、その半面、画面が暗めに感じることがあった(無論、ゲームがしづらいほど暗いわけではない)。一方、MP ENGINE IIを積んだMDT243WGであれば、画面の明るさを保ちつつ、ゲーム映像の残像感も減るため、よりゲームの臨場感が増す印象だ。特に暗いシーンが続くゲームではMP ENGINE IIによって映像が見やすくなる。

1920×1200ドット表示の24.1型ワイドパネルはVA系のA-MVA方式を引き続き採用し、輝度は500カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1000:1(CRO動作時で最大2000:1)、応答速度は中間階調で6msとハイスペックだ(写真=左)。プレイステーション 3と接続して映像出力を1080pに設定した状態(写真=中央)。上下に帯を表示して16:9のフルHD映像をドットバイドットで表示でき、グラデーションのメニュー画面もなめらかだ。MP ENGINEの機能を適用するMP MODEは従来同様、3段階に強度を調整できるが、最大強度の「レベル3」でも明るさが増している(写真=右)

 また、従来はMP MODE、DV MODE(用途別の画質モード)、入力ソースごとに輝度の差が生じていたため、これらの表示モードや入力系統を切り替えると、画面の明るさが変わって目がなじむまで少し違和感を覚えることがあったが、MDT243WGでは表示モードと入力ソースごとに輝度の設定が可能になった。これによって、表示モードや入力ソースを変えても一定の輝度が保てるため、さまざまな機器をMDT243WGにつないで活用する場合の使い勝手が向上している。

画質モードのDV MODEは「ゲーム2」が黒基調の画面が見やすい表示となったほか、「フォト」の代わりにテレビチューナーなどの映像を想定した「テレビ」が追加された(写真=左)。内部処理の一部を省くことで、映像を入力してから表示されるまでのタイムラグを短縮するスルーモードも健在だ(写真=中央)。16:9に近いアスペクト比での表示とスルーモードを両立する「16:9MODE」の設定はMDT242WGと変わらない(写真=右)

内蔵スピーカーの音質を向上

 MDT243WGは内蔵スピーカーにもこだわりがある。前モデルのMDT242WGは、スピーカーユニットの特性や開口部の形状などが音質に与える悪影響を補正信号で打ち消す「DIATONEリニアフェイズ」技術を搭載していたが、MDT243WGではこれと新採用の「低共振スピーカー」を組み合わせた振幅制御により、従来よりゆがみの少ない低音を実現。また、中高音を増強するエフェクターや余韻成分をオーディオ信号に付加する技術で、音の明瞭(めいりょう)度と臨場感の向上にも配慮した。

 スピーカーの出力は5ワット+5ワットと変わらないが、これらの仕様強化が生かされ、従来より重低音が鳴るようになり、高音の抜けもさらに向上している。

スピーカーは正面から見ると開口部が狭いが、容量を稼ぐため、背面は盛り上がっている

インタフェースとスケーリング機能も多彩

 充実したインタフェースはMDT242WG譲りだ。映像入力にDVI-D(HDCP対応)、アナログRGBのD-Sub、HDMI×2(PC入力対応)、D5、S-Video/コンポジット、音声入力にRCAステレオ ×2、ステレオミニ、音声出力に光デジタル(2チャンネル/HDMI入力時)、ステレオミニ×2(1つはヘッドフォン出力)を用意する。

各種AV入力は側面にあるのでケーブルの着脱がしやすい(写真=左)。PC入力は背面に用意されている(写真=中央)。入力系統や音量、輝度などの各種設定を手軽に操作できるリモコンも付属する(写真=右)

 もちろん、MDT242WGと同様、映像ソースによって複数の表示方法を選べる。MDT243WGのWUXGAパネルは画面のアスペクト比が16:10なので、デジタル放送やHD対応ゲームの16:9映像を出力する場合、映像の上下に帯を入れて正しいアスペクト比を保持する表示や、全画面フルスクリーン表示、両サイドを自動的にカットしての全画面表示を切り替えることが可能だ。低解像度を映すときには、入力解像度を縦横2倍にスムージングなしで拡大表示する「2×ズーム」も利用できる。

左から、800×600ドットの映像をドットバイドット(リアル)、縦横2倍に拡大(2×ズーム)、フルスクリーン(フル)で表示した例


 前モデルのMDT242WG自体が多彩な機能と設定項目を持つゲーム向けディスプレイとして完成度が高かったため、MDT243WGで大胆な仕様変更をしなかったのは正解だろう。そのぶん、ユーザーから指摘された細かな問題点にもきちんと応えることができており、使い勝手は着実によくなった。特にMP ENGINE IIにおける動画ブレの低減と明るさの両立は効果的で、ゲームに強いディスプレイを探しているユーザーにとって、より満足度の高い1台に仕上がっている。

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