小寺信良の現象試考
ポスト・ネットブック時代のパソコン(3/3 ページ)
画面解像度の面でも、これまでとは全然違うアプローチが見えてくるだろう。「ThinkPad W700ds」がディスプレイを2つ搭載したことで話題になっているが、あの方向は長くは続かないように思う。構造が複雑だし、何よりも展開した姿はバランスが悪く、費用対効果を考えるとそれほどメリットがあるとは思えない。
それよりも今話題になっているモバイルプロジェクタが次第に解像度と輝度を上げていくと、モバイル機のセカンドディスプレイとして搭載される可能性があるのではないかと思っている。おそらく携帯電話に搭載される方が先だろうが、その課程で光源の電力消費が整備され、より高解像度へ向かう下地となるだろう。
ソフトウェアの面では、クラウドコンピューティングへの序章はすでに始まっている。データ面では、DropboxやWindows Live Syncなどのサービスは、従来のオンラインストレージとは違った同期機能が売りだ。オンラインでいれば常時複数のPCと同期するので、外から帰ったら母艦と同期、という作業が不要になる。従来はこれから出かけるという時に同期を忘れると悲惨なことになっていたが、この事故もなくなる。TPOに合わせたPCを気軽に持ち出し、いつでも同じデータを参照することができる。リアルタイム同期は、これから輝くキーワードだ。
アプリケーションも、本当に全員がMS Officeを持つ必要があるか、ということを考える時期にさしかかっている。メール添付で書類がWordの.DOCで送られてくることは少なくないが、それを開くだけならGoogleドキュメントで十分だ。もちろんドキュメントを配布する側は互換補償という意味でWordを使う必要はあるだろうが、PCのユーザー全員がWordで書類を作るわけではない。
クラウドコンピューティングのメリットは、使い勝手の面だけでなく、アプリケーション導入コストを削減したり、ローカルハードウェアの処理能力依存を減少させることである。今年は大手企業でも大幅なコスト削減が求められ、ハードウェアの新規導入は難しくなるだろう。しかし古いマシンでも、求められる仕事の要求は年々高くなることは変わらない。
景気低迷が予測される今年、ユーザーに求められるのは、コストをかけずに快適にタスクをこなす知恵だ。それは低価格なハードウェアと、それに組み合わせる「手段」である。今年はよりそれらのHack的手法が、重宝されることになるに違いない。
小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は小寺氏と津田大介氏がさまざまな識者と対談した内容を編集した対話集「CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ」(翔泳社) amazonで購入)。
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