やはり中身もNetbookとは大違い――「VAIO type P」を丸裸にする完全分解×開発秘話(1/2 ページ)

» 2009年01月08日 12時01分 公開
[前橋豪,ITmedia]

CESを盛り上げている“VAIO New Mobile”をいきなり分解

今回分解した「VAIO type P」

 既報の通り、ソニーは1月8日に薄型軽量ミニノートPC「VAIO type P」を発表した。VAIOの2009年春モデルは2日前の1月6日にいっせいに発表されたが、新作となるVAIO type Pは米国で開催中の「2009 International CES」にてセンセーショナルなデビューを飾るべく、温存しておいたというわけだ。

 詳細なレビューは別の記事でお届けするが、世界中の注目を集めるIT総合展示会であるCESの目玉として初公開されるだけのことはあり、そのスペックは刺激的だ(詳細レビュー記事はこちら)。厚さ19.8ミリのフラットなボディは、横幅が245ミリで奥行きが120ミリと、A4用紙が3つ折りで入る定形サイズの封筒(長形3号:235×120ミリ)と同程度の設置面積におさまり、重量は最軽量の構成で約588グラムと軽い。

 このモバイルノートPCとしては非常にコンパクトな横長の本体に、無理のないレイアウトのキーボードを敷き詰め、1600×768ドットの高解像度表示が可能な8型ワイド液晶ディスプレイや、ワイヤレスWANもしくはワンセグチューナーのモジュールなども搭載し、標準バッテリーの駆動時間は約4.5時間をうたうというのだから驚きだ。ここまで小型化や省電力化を推し進められたのは、Menlowの開発コード名で知られるMID(Mobile Internet Device)/UMPC向けプラットフォームを採用したことも大きい。

 ここでは、いかにしてVAIO type Pがコンパクトボディと使い勝手の両立を図っているのか、その秘密を探るべく、分解して内部構造をチェックした。

注意

製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは編集部が使用した製品のものであり、すべての個体にあてはまるものではありません。


ネジが1本も見当たらないボディはどうやって分解する?

慣れた手つきでVAIO type Pを分解するVAIO事業本部 NotebookPC事業部 シニアプログラムマネジャーの鈴木一也氏

 さて、通常であれば編集部やライターが直接PCを分解するところだが、発売前の試作機ということもあり、分解はNGとのこと。そこで今回は特別にVAIO事業本部でVAIO type Pのプロジェクトリーダーを担当した鈴木一也氏に分解してもらった。

 VAIO type Pのボディはデザインにこだわり抜いており、底面も含めてネジが1本も露出していない。そのため、分解する場合はどこから手を付けていいのか悩むが、バッテリーパックを取り外すと2本のネジが現れるので、まずはこれを外す。

 次に、キーボード下の両端に液晶ディスプレイを閉じた際のクッションを兼ねた楕円(だえん)形のシールがある点に注目だ。2つのシールをピンセットなどで注意深くはがすと、その下にネジがあるので、これも外す。

 これら4本のネジを外すことで、キーボードと一体化した本体のトップカバーを分離できる仕組みだ。トップカバーを持ち上げるときには、キーボードとスティック式マルチポインティング・デバイス用のフレキシブルケーブルも取り外す必要がある。

底面のバッテリーパックを外すと、2本のネジが現れる(写真=左)。キーボード下の両端にある楕円(だえん)形の突起はシールになっており、はがすと下にネジがある(写真=中央)。樹脂製のトップカバーを取れば、マグネシウム合金製のフレームが露出する(写真=右)

取り外したトップカバーの表面(写真=左)と裏面(写真=中央)。キーボードユニットはたわまないように、トップカバーに接着されている。取り外したスティック式マルチポインティング・デバイス(写真=右)

 トップカバーの下には本体一面を覆うマグネシウム合金製のフレームがあり、これが本体の剛性や底突き感のあるキータッチを支える骨組みとなっている。このフレームのネジを1つずつ外して、底面のボトムカバーを分離すれば、1.8インチのHDDベイにアクセスすることが可能だ。後は露出しているネジやケーブルを順番に外していくことで、マザーボードまで取り出せる。

マグネシウム合金製のフレームにあるネジを外し、ボトムカバーを開けると、マザーボードとデータストレージが現れる(写真=左)。取り外した樹脂製ボトムカバーは裏に放熱用のシートが張られている(写真=中央)。分解したVAIO type Pの液晶ディスプレイは右側にWebカメラを搭載しないものだった(写真=右)。ちなみに、天板はマグネシウム合金製、液晶ディスプレイ周辺の素材はアクリルとPET(ポリエチレンテレフタラート)だ

データストレージや主要なボード類をすべて外したマグネシウム合金製フレームの表面(写真=左)と裏面(写真=右)

 次のページでは、マザーボードやデータストレージの構造を見ていこう。

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