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REGZA史上“最強”、新Zシリーズ詳報(2/3 ページ)

» 2009年04月07日 20時59分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

インパルス駆動に近い“自然な映像”

 Wスキャン倍速は、1秒間に120枚の静止画を表示する倍速駆動と、バックライトをスキャニングする技術を組み合わせたもの。「映像補間時のエラーで破たんするリスクは120Hz駆動と同等。しかも黒挿入により、インパルス駆動のブラウン管などに近い“自然な映像”になる。ここが大きい」(本村氏)。

 Z/ZH8000シリーズでは、画面を帯状に3分割し、上下および中央が交互に黒くなる仕組みだ。一方、LEDバックライトを採用したZX8000シリーズではより細かく、画面を8分割して上から順次スキャニングする。黒挿入による画面輝度の低下は、バックライトの効率アップと新しい光学フィルムで吸収した。

photophoto Wスキャン倍速の概要(左)。LEDバックライトを搭載したZX8000と従来機との画質比較(右)

 一方、ZX8000シリーズに採用されたLEDバックライトシステムは、先行したソニー、シャープと異なり、ホワイトLEDを採用している(→「白色LED」――エコ重視のいま注目される光源)。赤、緑、青の3色を1組にして白を作る“RGB-LED”のほうが色域は広くできるが、本村氏は「BT.709(ITU-Rが定めたデジタル放送の色域規格)より広げても、不自然に見えることが多い」と指摘する。「それよりBT.709の実領域で精度の高い補正を行ったほうが良い結果が期待できる。ホワイトLEDは、(RGB-LEDに比べて)コスト的にも有利」。

 周知の通り、LEDバックライトは従来のCCFL(冷陰極管)バックライトと異なり、画面をいくつものエリアに分割して、それぞれの明るさを細かく制御できるのがメリット。映像の暗い部分ではバックライトも消灯するため、従来の“漏れ光”がなくなり、より黒くできる。

 東芝では、今のところ分割したエリアの数など詳細を公表していないが、制御用LSIは新規に開発したものだ。映像処理エンジンの「メタブレイン プレミアム」には基板が1枚追加され、その上に2つのLSIが並ぶ。このLSIを用い、入力映像を解析して各エリアのバックライト点灯値を決定、さらに拡散フィルターを通したときの光の広がり方まで考慮して(プロファイルを使用)映像に補正をかけて出力するといった処理を行う。

photophoto ZX8000シリーズでは、「メタブレイン プレミアム」には基板が1枚追加された。2つのLSIでバックライトを制御する

 「フルHDの200万画素に対して、画素ごとに計算して補正する。従来は漏れ光による“黒浮き”で隠されていた暗部ノイズまで(黒が沈むため)視認しやすくなってしまうため、これをおさえる処理もくわえた」(住吉氏)。

アップスケールされた映像にも超解像処理

 「レゾリューションプラス2」は、再構成法の超解像技術と周波数ヒストグラム解析を組み合わせた映像処理技術。解像度を高める基本的なプロセスは従来と同じだが、今回はファームウェアの改善により、さまざまなフォーマットへの対応を可能にしている。

 まず利用頻度が高いのは、DVD/BDレコーダーなど外部チューナーの信号をHDMIで入力するケース。レコーダー側で1080pにアップスケールされている場合、従来はメタブレインによる高画質処理を行うだけで表示していたが、今回は1920×1080i/pの映像信号に対しても超解像処理が働くように変更された。つまり、レコーダー/プレーヤー側で既にアップコンバートを行ったDVDや地デジ(1440×1080ピクセル)の信号に対しても超解像処理が適用される。また、HDVのようにフルHDではないハイビジョンカメラの映像にも有効で、デジタル圧縮に伴うS/Nの悪化を改善するため、新しいノイズリダクションも搭載した。

photophoto 「レゾリューションプラス2」の概要

 自動画質調整機能は「おまかせドンピシャ高画質・プロ」となり、新たに人間の視覚反応の1つである「明暗順応」に合わせた補正がくわえられた。例えば、いきなり暗い場所に入ると、人間の目が順応するまでに150〜180秒かかるが(暗順応)、照明をつけたときや明るい場所に出たときは20〜30秒で順応できる(明順応)。この時間差に着目し、周囲の環境(明るさ)が変化した際に画質を切り替える時間を微妙に調整する。

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