東京・有明の国際展示場(東京ビッグサイト)で4月14日、フラットディスプレイの専門展示会「Display2009」が開幕した。展示スペースの大半を製造機器や部材が占める中、大手テレビメーカーとして唯一ブースを構えたのがソニー。今年1月の「International CES」で注目を集めた“3Dテレビ”や21V型有機ELテレビの試作機などを展示している。
21V型の有機ELパネルは、スマートなスタンドに組み込まれている。解像度こそWXGAとなっているが、ピーク輝度600カンデラ、コントラスト比100万;1、応答速度は「マイクロ秒(ミリ秒の1000分の1)のオーダー」(同社)といったスペックは「XEL-1」と共通。イベントに何度か出品されたた27V型フルHDのプロトタイプに比べるとサイズ/解像度の面で見劣りするが、今回は「開発用プラットフォームとして展示したもの。従来のものとは(有機)材料が異なる」という。
HCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp:熱陰極管)を搭載したエコBRAVIA「V5シリーズ」のカットモデルも展示されていた。一般的な蛍光灯と同じ仕組みのHCFLは、高効率ではあるが電極を小さくすることが難しいといわれていたが、同社は、トリニトロン管の技術を応用した二重らせん構造の小型電極を開発し、HCFLの細管化に成功。高効率のバックライトとして実用化した。
カットモデルの中をのぞいてみると、HCFLの効率の高さがよく分かる。通常、40インチクラスの液晶テレビなら18〜20本のCCFL管を使うのが一般的だがKDL-40V5には、半分以下となる8本しか使われていない。テレビ全体の消費電力は129ワットで、従来機比で約40%の削減となっている。
ソニーブースの横に設けられた「3Dコーナー」では、デジタルサイネージ(看板など)やパチンコ/ATMといった特定用途向けの立体ディスプレイを多く見ることができる。こうした裸眼立体視が前提となる用途では、液晶パネルの表面にかまぼこ型のレンチキュラーレンズを装着したり、左右の目で見る像を限定するパララックスバリアを設けたものが主流だ。
そんな中、裸眼立体視が可能なデジタルフォトフレームを展示していたのが、WWD(ワールド・ワイド・ディスプレイ)ブース。
同社のデジタルフォトフレームは、7インチと12インチの2種類で、どちらもパララックスバリアを使用している。サイド・バイ・サイド方式の3Dコンテンツに対応するほか、2D画像を3Dに変換する専用チップにより、SDカードやUSBメモリに記録したJPEG画像も立体視できるのが特徴だ。
変換用ICは同社と協力関係にある韓国メーカーが開発したもので、画像のコントラストなどから奥行きを“推測”して2つの画像を作り出す。また、解像度は限定されるものの動画のリアルタイム変換も可能で、動画ファイルや外部入力映像(アナログ)も立体的に見ることができる。
WWDの佐藤友之社長によると、6月にODM(相手先ブランドによる設計・製造)受注を開始。早ければ秋には製品が店頭に並ぶ見通しだという。なお、気になる価格については、「コストの問題はこれから解決しなければならない。価格下落が著しい7インチはともかく、12インチに関しては従来の1.5倍程度の価格を目指したい」(同氏)と話している。
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