いま写真愛好家を中心に熱い注目を集めているカメラといえば、オリンパス「E-P1」が筆頭にあがる。同社がこれまで推進してきたデジタル一眼レフの規格「フォーサーズシステム」をさらに拡張し、同社では初の「マイクロフォーサーズ」機として登場した、レンズ交換式の小型軽量カメラである。
同規格の製品としては、すでにパナソニックが「LUMIX DMC-G1/DMC-GH1」を発売し好評を得ているが、これら先行する2台とE-P1とでは、カメラとしての性格や位置付けが少々異なる。LUMIXの2台は、既存のデジタル一眼を踏襲するデザインを採用し、主にコンパクトデジカメからステップアップする層をターゲットにしている。
対するE-P1は、一眼レフというよりはコンパクトデジカメ、もしくはフィルム時代の高級コンパクト機やレンジファインダー機を連想させる。光学式や電子式のファインダーは搭載せず、撮影は液晶のライブビュー表示を見ながら行う。また、ストロボを内蔵しないことは、中上級の一眼レフ以外では珍しく、思い切った仕様といえる。
約335グラムのボディは、コンパクトデジカメに比べると大きく重いが、レンズ交換式のデジカメとしては最軽量の部類だ。また、見た目のデザインはコンパクトデジカメに近いが、レンズ交換ができ、従来のフォーサーズ機と同等の4/3型センサーを搭載しているという意味ではデジタル一眼に近い。これまでの基準では分類できない新ジャンルのデジカメといえるかもしれない。想定されるターゲットは、写真撮影を趣味にする愛好家層がメインだろう。新市場を開拓するという意味でも期待の大きな製品である。
E-P1のレンズは、今のところ同社純正品としては、標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED14-42mm F3.5-5.6」と、パンケーキタイプの広角単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」の2本が用意される。どちらのレンズも小型軽量ボディに似合う、小さくて軽いレンズだ。構図の自由度を重視するなら標準ズームを、携帯性優先ならパンケーキレンズをそれぞれお勧めする。
E-P1に標準ズームを装着して初めて起動した際には、ちょっとした戸惑いを感じた。電源ボタンを押しただけでは撮影可能にならず、ズームリングを回してレンズの前部を引き出す必要があることからだ。速写性では劣るが、携帯性を高めるユニークな工夫といえる。
起動と同時に液晶モニターが点灯し、3型の大画面ライブビューを見ながら構図を決められる。ファインダーがないのでボディの安定感は乏しいが、望遠撮影以外では大きな問題はないだろう。画素数は約23万画素と少々もの足りないが、視野角や視認性は実用十分なレベル。追従性にも不満はない。
AFは、同社が「ハイスピードイメージャAF」と呼ぶコントラスト検出方式で作動する。AFの測距点は、自動または手動で11点から選択でき、「フェイス&バックコントロール」機能をONにすれば最大8人対応の顔認識AFも機能する。
AFの作動は、ほぼ無音のパナソニック製マイクロフォーサーズレンズとは異なり、ジジッという小さな駆動音が生じるが、静止画撮影では特に気にするほどではない。AFスピードは、パナソニック製品にはやや劣るが、「E-620」などのフォーサーズ機のハイスピードイメージャAFよりも高速化しており、特にストレスは感じない。ちなみに、マウントアダプタを利用して従来のフォーサーズレンズをE-P1に装着した場合は、レンズ側のコントラストAF対応/非対応を問わず、コントラストAFが作動する。
試用では主にRAW+JPEGモードを使ったが、撮影間隔や記録時間に不都合を感じることはなく、スナップ撮影を快適に楽しむことができた。動画撮影については、低速カードでは記録が止まる場合があるので、スピードクラス6対応の高速なSDHCカードを利用したい。
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