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「E-P2」第2回――高精細EVFは買いか長期試用リポート

» 2010年01月27日 16時59分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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photo 電子ビューファインダー「VF-2」を装着した「EP-2」

 「オリンパス・ペン E-P2」(以下EP-2)と先行して販売された「E-P1」の違いは実のところあまり多くない。4/3型 有効1230万画素の撮像素子やレンズマウントは完全に同一であり、カラー展開を除くと一見したところ外見上の違いはないように見える。外観上、ほぼ唯一の相違点が背面に設けられた「アクセサリーポート」で、ここには電子ビューファインダー(EVF)「VF-2」や、マイクセット「SEMA-1」などが装着できる。

 電子ビューファインダー「VF-2」はEP-2と同時に用意された専用オプションで、画素数は144万画素、視野率は100%となっている。接眼部は90度チルトする機構を備えており、ローポジションでの撮影に威力を発揮する。なお、接眼を検知するセンサーは備えておらず、利用時にはボタンを押して背面液晶/EVFを切り替えてやる必要がある。

 EVFとしては異例ともいえる144万画素を誇るだけあり、表示には精細感があり、被写体をとらえやすい。接眼部のリングを回すことで視度の調節を行えるのだが、リングには適度な粘りがあって適切な場所への固定がしやすいのは目立たないかもしれないが評価したいポイントだ。

photophotophoto VF-2利用時にはボタンを押して背面液晶/EVFを切り替える(写真=左)、接眼部のリングを回すことで視度の調節を行える(写真=中)、装着することで安定感の向上も期待できる

 チルト機構によってローアングルでの撮影がしやすいことはEVF装着のメリットのひとつだが、撮影時の安定感が増すことももうひとつのメリットといえる。背面液晶を利用したライブビュー撮影は確かに気軽なスナップ撮りには最適だが、どうしても背面液晶を見ながらの撮影スタイルでは脇が閉まりにくく、シチュエーションによっては手ブレの原因となりかねない。しかし、EVFを装着するとカメラと顔を接近させるために必然的に脇は締まり、接眼部でもカメラを固定することになるので、ブレの抑制が期待できる。

 と、ここまではVF-2装着時のメリットについて触れてきたが、気になる点もいくつかある。まずひとつは色味。背面液晶と交互に見比べるしか比較の方法はないが、背面液晶に比べコントラストが強く、中間色の表現に乏しく感じられる。ホワイトバランスやアートフィルター、露出補正などがリアルタイムに反映されるEVFだけに中間色の微妙なニュアンスがつかみきれないのはマイナスに思う。

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 もうひとつは斜め線の表現だ。144万画素という高精細なパネルを搭載しているとはいえ、接眼という超至近距離で見るにはまだまだ液晶の画素ピッチが粗いようで、斜めの線にシャギーが現れるほか、スピーカーのサランネットなどを視野に入れるとモアレが発生する。いわゆる一般的なデジタル一眼レフの光学式ファインダーに比べると、“映像の自然さ”という点で見劣りを感じるひとはいるだろう。

 あとこれは直接VF-2に関することではないが、EVFで撮影していると撮影後の確認もEVF上になってしまうのにはフラストレーションを覚える。VF-2のボタンをシャッターごとに押して確認すればいいといえばそこまでだが、「シャッターを切る、背面液晶で確認する」という習性が身に付いてしまっている身としては正直なところ煩雑だ。ファームウェアバージョンアップで対応できるならば、改良を望みたい点のひとつだ。

 さて本題のVF-2は買いか?を考えてみたい。まず、いわゆる“光学式ファインダーの見え方”が欲しいならばおすすめはしにくい。確かにVF-2は高精細で視野率100%だが、ミラーを搭載した一眼レフのファインダーに比べると映像に自然さは乏しい。どこまでを許容できるかは個人差となってしまうが、“見え方”が欲しいならば無条件に飛びつかない方がいい。

 ローアングル撮影や脇を締めた撮影スタイルを重視するならば買いだ。チルトした状態ならば被写体に「カメラを向けられている」という圧迫感も与えないので、自然な表情を撮りたいという希望が優先順位の上に来るならばこれも買いだろう。

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