日本ビクターのAVCHDビデオカメラは、昨年夏に登場した「GZ-X900」(レビュー)以降、画質の向上が著しく、値ごろ感の高さもあって注目度が一気に増している。今春は、昨年秋登場の最上位機「GZ-HM400」(レビュー)をさらに強化した「GZ-HM1」のほか、コンパクトな2機種を加えた3モデルを用意しているが、今回は中位機の「GZ-HM570」を紹介したい(ビクター、Bluetooth対応のポータブルビデオカメラ「GZ-HM570」など2モデル)。
従来の同社製品に通じるデザインのコンパクトモデルではあるが、中身は最近の同社製品らしい優れた画質と多彩な付加機能を備えており、今春モデルでも注目の存在といえる。もちろんフルHD対応のAVCHDビデオカメラで、記録メディアは64Gバイトの内蔵メモリーとSDHCメモリーカードだ。
最大の見どころは、カメラとしての基本性能の高さにある。撮像素子には、暗部の画質向上に効果の高い裏面照射型CMOSセンサー「B.S.I.CMOSセンサー」を採用。1/4型のセンサーを採用する他社製品が多い中になって、上位機のGZ-HM1とまったく同じ、1/2.3型1062万画素という大型のセンサーを搭載してきたこともポイントだ。ちなみに、レンズも同スペックの光学10倍ズームレンズで、映像処理エンジンも同じ。ということは、GZ-HM570は上位機なみの画質を備えたコンパクト機ということになる。
しかもGZ-HM570は普及クラスの製品である。昨年秋モデルまでは、ディテール描写の精細さや、暗い場面でのノイズの少なさといった基本性能は、本体サイズが大きく、価格も高い上位クラスの製品でなければ得られなかった。GZ-HM570の登場により、より多くの人が手にするこのクラスの製品も、ワンランク上の画質に進化したことを高く評価したい。また、手ブレ補正は電子式ながら、待望の強力補正モードである「アクティブモード」がついに実装された。
ただし、今春モデルではワイド端の焦点距離が広角寄りになった製品が多い中、本製品はワイド端が48.3ミリ相当(35ミリ換算)からと望遠寄りであるうえ、アクティブモードをオンにすると、さらに52.6ミリ相当にもなってしまう点が、強いて挙げるとすれば弱点になる。
本体重量は約260グラム(本体のみ、撮影状態では約300グラム)と、軽量。重量バランスにも優れており、実際に持っても重さを感じさせないため、長時間持っていても疲れを感じにくい。クリアブラック、チタンシルバーという伝統的なカラーバリエーションに加え、やや紫がかった色合いのルージュレッドも用意される。
独自のインターフェイスによるユニークな操作感も特徴的だ。液晶モニターは2.7型12.3万画素と、ライバルに比べて画素数が控えめなものの、精細な動画を撮影できたことがその場でしっかり実感できる。屋外での視認性も高く、色再現も鮮やかなので、撮っていて楽しくなる。
そのモニターの左側と下部には、最近の同社製品ではおなじみの「レザータッチオペレーション」用のボタンとスライダーが並ぶ。画面を直接タッチすることはできないが、スライダー上で指をすべらせると、青色LEDが追従するように光るのも面白い。狙った位置にピタリと止めるには慣れを要するが、新しい操作感であることは確かだ。操作する必要のあるシーンでのみ、ボタンのアイコンが画面に現れるのもわかりやすい。
撮影していないときは、グリップベルトの付け根を外せば、ベルトをリストストラップ代わりとして腕に通して持つことができるので、スマートに持ち歩けるのもありがたい。
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