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» 2010年06月22日 10時10分 公開

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:3Dに海外ブランド、Blu-ray Discプレーヤーが面白い (2/2)

[ 聞き手:芹澤隆徳,ITmedia]
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いよいよ登場、海外ブランドのユニバーサルプレーヤー

――もう1つ、注目したい動きがあるそうですが

麻倉氏: 実は最近、海外メーカーのユニバーサルプレーヤーが3機種、相次いで上陸しました。国内メーカーでBD対応のユニバーサルプレーヤーを販売しているのは、デノンとマランツくらいですから、海外勢の参入は大歓迎ですね。海外製品には国産機とは違う文化や価値観があり、とても面白いです。

 ユニバーサルプレーヤーといえば、以前はDVDビデオとDVD-AUDIO、CD、SACDの4種類を再生できるプレーヤーのことを指しましたが、今回はそれに加え、BD-ROM、BD-R/REの再生も可能になりました。つまり、オーディオとビジュアルのパッケージメディアをすべて再生できるわけです。パナソニックのT900はBlu-ray 3Dを再生できますが、DVDオーディオやSACDは再生できません。でも、同じ12センチの光学ディスクですから、再生できたほうが自然でしょう。

photophoto 米OPPO DigitalとNuForceの「BDP-83SE」(左)。英Cambridge Audioの「Azur650BD」(右)

 さて注目の3機種とは、英Cambridge Audio(ケンブリッジオーディオ)の「Azur(アズール)650BD」、米OPPO Digital(オッポデジタル)とNuForce(ニューフォース)の「BDP-83SE」、米Ayre Acoustics(エアー・アコースティクス)の「DX-5」です。しかも、Azurは10万円前後、BDP-83SEは20万円前後と、海外のハイエンド機器としては買いやすい価格設定です。DX-5は138万円と高価ですが、これには約50万円もするAyre AcousticsのUSB-DACが入っています。

 実はこの3機種、OPPOが供給する共通のシャーシを使って作られたものです。OPPOのユニットをベースに各社が独自の技術で音質を磨き、デザインやリモコンなどにも独自仕様を加えるという、独特のものづくりが行われています。日本のメーカーは、基板からボディーデザインまですべて自社開発が普通ですが、一方で液晶テレビなどはパネルなどの部材供給を受けて組み立てる水平分業が進んでいます。そのビジネスモデルが、BDプレーヤーにも入ってきわけですね。

 この3機種はすごく音が良くて、しかも個性的です。音が良い理由の1つは、OPPOが供給するユニットの素性の良さ。そして各社が電源や音声回路を工夫しているためです。

 また、これらの製品は、最近のユニバーサルプレーヤーとしては珍しく、SACDのDSD信号をHDMI端子からビットストリーム出力できます。対して、国内メーカーのユニバーサル機では、SACDのDSD信号をいったんリニアPCMに変換してからビットストリーム出力しています。

photo Azur650BDの背面端子

 では、どんな音かというと、Cambridge AudioのAzur 650BDは階調感豊か、NuForceのBDP-83SE NuForce Editionは解像感が高く、非常に伸びの良い音を聴かせてくれます。Ayre AcousticsのDX-5はくっきり、しゃっきりとした、いかにも海外製品的な良い音でした。

 驚いたのは、恐ろしいほど(BD-ROMの)読み込みが速いことこです。とくにディズニーのBDなど、他のメーカーのプレーヤーでは、実に遅くいらいらさせられるものもありますが、この3モデルは俊足です。

 Blu-ray Discが登場して5年目になりますが、海外メーカーの参入で面白くなりましたね。しかも水平分業の取り組みによって、市場に早く、安く製品を投入できるようになりました。今後は、製品を選ぶ楽しみが増えそうです。

麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴

 1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターとソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで、日々最新AV機器の映像チェックを行っている、まさに“映像の鬼”。オーディオ機器もフィリップスLHH2000、LINNの CD12、JBLのProject K2/S9500など、世界最高の銘機を愛用している“音質の鬼”でもある。音楽理論も専門分野。

 現在は評論のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中、精力的に活動している。

著作

「ホームシアターの作法」(ソフトバンク新書、2009年)――初心者以上マニア未満のAVファンへ贈る、実用的なホームシアター指南書。

「究極のテレビを創れ!」(技術評論社、2009年)――高画質への闘いを挑んだ技術者を追った「オーディオの作法」(ソフトバンククリエイティブ、2008年)――音楽を楽しむための、よい音と付き合う64の作法

「絶対ハイビジョン主義」(アスキー新書、2008年)――身近になったハイビジョンの世界を堪能しつくすためのバイブル

「やっぱり楽しいオーディオ生活」(アスキー新書、2007年)――「音楽」をさらに感動的に楽しむための、デジタル時代のオーディオ使いこなし術指南書

「松下電器のBlu-rayDisc大戦略」(日経BP社、2006年)──Blu-ray陣営のなかで本家ソニーを上回る製品開発力を見せた松下の製品開発ヒストリーに焦点を当てる

「久夛良木健のプレステ革命」(ワック出版、2003年)──ゲームソフトの将来とデジタルAVの将来像を描く

「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、1998年 アメリカ版、韓国、ポーランド、中国版も)──プレイステーションの開発物語

「ソニーの野望」(IDGジャパン、2000年 韓国版も)──ソニーのネットワーク戦略

「DVD──12センチギガメディアの野望」(オーム社、1996年)──DVDのメディア的、技術的分析

「DVD-RAM革命」(オーム社、1999年)──記録型DVDの未来を述べた

「DVD-RWのすべて」(オーム社、2000年)──互換性重視の記録型DVDの展望

「ハイビジョンプラズマALISの完全研究」(オーム社、2003年)──プラズマ・テレビの開発物語

「DLPのすべて」(ニューメディア社、1999年)──新しいディスプレイデバイスの研究

「眼のつけどころの研究」(ごま書房、1994年)──シャープの鋭い商品開発のドキュメント


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