家電エコポイントは、地球温暖化対策と経済の活性化、および地上デジタル対応テレビの普及を図るために創設された、環境省と経済産業省、総務省により創設されたポイント制度だ。地上デジタル放送対応テレビ(以下、地デジ対応テレビ)とエアコン、冷蔵庫の3カテゴリーを対象に、担当省庁が省エネ性能を5段階評価し、最小で星1つ、最大で星5つを与え、統一省エネラベルとして製品に貼付するもの。2010年4月に制度が一部改訂されて以降は、「4つ星以上」が家電エコポイントの対象製品(グリーン家電製品)とされている。
このエコポイント、地デジ対応テレビであれば26V型未満が7000点、26V型から32V型が12000点といった具合に、小売店での販売価格やポイントプログラムの有無とは関係なく適用される。消費者に歓迎されただけでなく、今年の夏商戦を後押ししたといわれるなど、景気浮揚策として一定の評価も獲得している。
7日の閣議後会見では、来年1月以降の家電エコポイント対象製品を「5つ星」に限定する方針が明らかにされた。理由としては、温暖化防止対策が高い製品の購入を促すという従来の方針にくわえ、年明け以降の景気減速を防ぐこと、および直近で販売された薄型テレビの約6割が5つ星だったことが挙げられている。
製品に対して与えられる星の数は、一定の基準にしたがい担当省庁により決定されるが、地デジ対応テレビに関するかぎり、現在販売されている製品の多くは5つ星だ。秋以降に発売される新製品も、5つ星として認定されるよう調整済みと考えるのが妥当だ。改定時期が冬商戦後の年明けになることもあわせると、消費者動向への影響は限定的と見るべきだろう。
1カ月あたりの財政負担額が約300億円とされる同制度を延長するためには、裏付けとなる財源の確保が必要。会見では、経済対策として用意された今年度予算の「経済危機対応・地域活性化予備費」の残額約9200億円の一部を充てると発表されたため、年度末で終了する公算は高い。政府内でも「景気対策の時限措置」が基本認識とのことだ。
とはいえ、来年7月のアナログ停波が迫るいま、地デジ対応テレビへの移行を促すことは政府にとって急務。そこへ急激な円高という悪条件が重なり、家電メーカー/量販店から制度延長の要望は多いものと考えられる。予算が確保されるという条件付きだが、なんらかの方法で同趣旨の制度は続くと見るべきかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR