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» 2011年10月14日 17時35分 公開

かなりピュア:ヤマハの新世代AVアンプ「AVENTAGE」で気付く“楽器の個体差” (2/2)

[野村ケンジ,ITmedia]
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高品位パーツで基礎体力向上

 基礎体力にまつわる部分、音響パーツのチョイスについても、なかなかのこだわりが見られる。例えば、音色のキモとなるDACデバイスには、192kHz/24bitと同時にDSDダイレクト入力にも対応したバーブラウン製の「DSD1796」をチョイス。プレゼンススピーカーを除く主要7chに投入することで、SACDマルチなどの音源もネイティブならではのピュアサウンドを堪能することができる。

バーブラウン製のDAC「DSD1796」(左)。映像処理チップとしてIDT製のHQV Vita「VHD1900」を採用。各種の映像補正機能を持ち、SD映像もHDに近い品位で出力するという(中)。ラップ構造のEI型電源トランス(右)

 またアナログ部とデジタル部に加え表示部までも別電源にしたり、アナログ入力基板とDA変換部の電位差を解消する「D.O.P.G.( DAC On Pure Ground)」、デジタル信号の時間軸精度を整える「ウルトラロージッターPLL回路」、高速熱帰還型パワートランジスターと大容量制振ヒートシンクを組み合わせたパワーアンプ部など、こと音質に関しては徹底的な追及がなされている。

 さらに左チャンネル系と右チャンネル系をシャーシ両端に左右対称に配置してサウンドのセパレーションを向上。筐体(きょうたい)には、本体底面に1.6ミリ厚の黒色塗装鋼板を加えたダブルボトム構造とともに、H型クロスフレームを採用することによって強度を高め、振動の影響による音質低下を徹底的に排除した。

ダブルボトム構造に新設計のH型クロスフレームで強度を高めた(左)。「A.R.T.Wedge」(アートウェッジ)と呼ばれる5番目の足も制振に大きな効果がある(中)。スピーカーターミナルは作業がしやすい幅を持たせた(右)

HDMI入力は8、出力は2

 HDMI端子は、8つの入力と2つの出力が用意されており、こちらも余裕のある仕様。3D映像やARC(オーディオ・リターン・チャンネル)にも対応しており、不足を感じる人はまずいないだろう。

 そしてもう1つ。HDMI CECやスタンバイスルー(スタンバイ状態でもHDMIセレクターとして機能する)をオンにした状態でも待機電力が2.7ワットという省エネ設計にも注目したい。さらにHDMI CECをオフにすれば、0.25ワット以下にまで下がる。今後、再び国内の電力状況が逼迫(ひっぱく)したとしても、わざわざコンセントからケーブルを抜く必要のないレベルといえる。

 AVファンにとって、ホームシアターは最高のエンターテインメントであり、豊かさの象徴でもある。できれば何の気兼ねもなく、それを楽しめる環境を整えておきたい。

楽器の固体差まで表現する音

 さて、“次の世代のAVエンターテイメント”の一角であるネットワークレシーバー機能については、NAS(ネットワークHDD)やPCの音楽コンテンツが再生できるWindows 7&DLNA1.5準拠。WAVやFLACの96kHz/24bit再生が可能だ。またiPhone/iPodを高音質に再生できるデジタル接続やUSBメモリ内の音楽再生など、さまざまな最新トレンドが盛り込まれている。

フロントパネル内にUSB端子。iPodのデジタル接続に対応する

 では、実際のサウンドをチェックするため、まずはネットワーク経由でステレオ音源の再生を行ってみる。

 その音は、これがAVアンプであることを思わず忘れてしまうくらい、ピュアでダイレクトな印象。解像度感が高く音の細部まで隅々と見渡せ、ニュアンス表現がとても細やか。ひずみ感もまったくといっていいほど感じない。例えばピアノの音色は、奏者の技術はもちろん、楽器メーカーの違いや個体のコンディションまで如実に伝わってくる。上原ひろみの演奏しているヤマハピアノが、単に心地よい響きを持っているだけでなく、タッチに対する反応のすばやい、キレの良い演奏を叶えてくれる極上の1台であることに初めて気がついた。

 続いて聴いたダイアナ・クラールは、96kHz/24bit音源とCDからのリッピング(44.1kHz/16bit)をはっきりと描き分けてくれた。抑揚表現の細やかさも解像度感も、まったくの別物で、96kHz/24bit音源では数枚ベールをはいだかのように音がダイレクトで、かつニュアンス表現も巧みになる。ハイレゾ音源を積極的に楽しみたくなるサウンドクオリティーだ。

 映画のサラウンド再生もなかなかの好印象を持った。昨年モデルの「RX-V3067」もなかなかに良いものだと思っていたが、まるで1クラス、いや2クラス上位の製品であるかのようだ。BDの「300」では、BGMが同じ演奏を別機材で収録したかのように、ダイナミックさも解像度も明らかに生まれ変わっている。さらにSNがよいため、台詞も耳によく届いてくる。これでRX-V3067と3万円弱の価格差(希望小売価格)しかないのだから、素晴らしいかぎり。基礎体力の向上を裏付ける結果といえるだろう。

 また今回は「RX-A2010」も比較試聴することができたのだが、こちらもなかなか。DACが異なるぶん(バーブラウン製PCM1789とPCM1781を採用)解像度感が低下し、シャーシ構成の違いが影響してか、SN感もRX-A3010ほど良質ではないものの、音楽表現のダイナミックレンジ、抑揚表現の幅広さはほとんど変わらない。とくに映画などではこちらも結構楽しめる。ピュアオーディオレベルのクオリティーにとことんこだわりたい、という人でなければ、充分に魅力的な選択肢となりそうだ。


 AVENTAGEシリーズは、新しい音源やデバイスに十分対応できる実力を持っていた。中でもRX-A3010は、高機能な上級AVアンプとしてだけでなく、ピュアオーディオ用アンプとしても充分に通用する高い実力の持ち主である。とくにネットワーク機能に関しては、別途ネットワークプレーヤーやPC用のUSB DACを必要としないくらい、納得のクオリティーを持ち合わせている。SACDマルチなどのDSDネイティブ再生も含めて、大いに活躍してくれる秀作であることは断言しよう。

型番 RX-A3010 RX-A2010 RX-A1010
出力(定格) 150ワット×9 140ワット×9 110ワット×7
シネマDSP シネマDSP HD3 シネマDSP<3Dモード(フロント/リアプレゼンスを使用)> シネマDSP<3Dモード>
HDMI入力/出力 8/2(同時出力可)
価格 26万400円 19万9500円 12万6000円

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