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スマホ操作で変形する次世代モビリティ「KOBOT」東京モーターショー2011

» 2011年11月30日 23時56分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 2年ぶりの開催で注目を集める「東京モーターショー2011」では、国内の全自動車メーカーを含む129の出展者が、EV(電気自動車)やハイブリッドカーなどの次世代モビリティを展示する。中でもプレスデーから派手なデモンストレーションで存在感を示していたのが、今年2月14日に設立されたばかりのベンチャー企業「興和テムザック」だ。

左から「KOBOT ν(ニュー)」「KOBOT β(ベータ)」「KOBOT π(パイ)」

 同社は、社名から分かるように医療用品から光学事業まで幅広く手がける興和(Kowa)と、「援竜」や「番竜」といったロボットで知られるテムザックの合弁会社。福岡市を本拠に小型電気自動車の開発を進め、設立からわずか10カ月でコンセプトモデルを出品するに至った。同社の芹田慶人社長は、「東京モーターショーでコンセプトを伝え、パートナーを募ることが大きな目的。そのため、デモンストレーションには力を入れている」と話す。

 同社のコンセプトモデル「KOBOT」には、1人乗りの3輪タイプ「KOBOT ν(ニュー)」「KOBOT β(ベータ)」および2人乗りの4輪タイプ「KOBOT π(パイ)」という3種類がある。3輪タイプは後輪が自由に動く小回りの効くタイプで、駐車時のフットプリントを最小化するため、“伸縮折りたたみ機構”を採用。乗車する際には、スマートフォンからの操作で走行モードに“変形”する仕組みだ。さらに街中ではかなり目立ちそうなイルミネーション機能も搭載。実用性と遊び心を両立させた。

スマホ操作で走行モードに変形する「トランスフォームボディー」(リリースより)を採用、イルミネーション機能も搭載した

 4輪タイプのKOBOT πも負けてはいない。見た目はほぼ“カボチャの馬車”で、左右の扉はいずれも観音開き。駐車中は、シートを動かして運転席とナビシートを向かい合わせにすることもできる。

観音開き。ちょっとしたお茶会くらいなら車内で開けそうだ

 芹田社長によると、想定マーケットは観光地向けのレンタカーや地域住民で共有するカーシェアリングという。例えば観光地なら、駅までは渋滞のない電車で移動し、KOBOTをレンタル。観光名所や土産物屋といった各拠点にEVターミナル(充電装置)を設置しておけば、拠点(観光地)間をKOBOTで移動できる。「自然と地元住民にやさしい観光地巡りになる」(同社)。同社の試算では、コンセプトモデルはフル充電で30キロ程度の走行が可能。EV設計の自由度の高さを生かし、とにかくコンパクトで省エネのEVを作った。

興和テムザックの芹田社長

 興和テムザックでは、2012年に試作車を作り、秋には販売を開始する計画。ただし、課題の1つが法制上のカテゴリー分けだという。例えばコンセプトモデルの3輪タイプを現状のまま市販すると“ミニカー”に区分され、法定速度は普通自動車と同じ時速60キロ。一方の4輪タイプは“軽自動車”扱いとなり、高速道路まで走れることになる。「EVは運動性能と安全性のバランスをとる必要がある」(芹田氏)。

 一方、今年2月には“ミニカーと軽自動車の間”に位置する新カテゴリーの法制化を検討するという発表があった。これは長距離は走らないが複数人が乗れるという、小型EVを想定したカテゴリーだ。「われわれはこれを目指したい。最近は軽自動車でも1トン程度の重量があるが、1人で乗るケースのほうが圧倒的に多い。お子さんの送り迎えや近場の買い物、観光といった用途であれば、省エネでコンパクトなEVが活躍できる」(芹田氏)。

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