いろいろあった2011年も残りあとわずか。今年最後の「デジタル閻魔帳」は、麻倉怜士氏が1年間を振り返り、とくに印象に残ったものをランキング形式で紹介する恒例「デジタルトップ10」をお届けしよう。
――まず、2011年を振り返っていかがでしたか?
麻倉氏:2010年が“テレビの年”なら、今年は“アフターテレビの年”です。7月のアナログ停波を境にテレビ需要が激減する一方、家庭にはハイビジョンテレビが行き渡り、“ポストフルHDテレビ”の市場開拓が進みました。ビジュアルだけではなく、オーディオでも力強い製品がたくさん登場しましたね。あまりにもたくさんありすぎて、今年は「トップ10」には収まりません。
――では、惜しくもランクインを逃した“次点”からお願いします
麻倉氏:次点は4つあります。それぞれ解説していきましょう。
2011年デジタルトップ10 | |
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次点1 | BD「WEST SIDE STORY: 50TH ANNIVERSARY EDITION」(21世紀フォックス) |
次点2 | 「NVS Soundケーブル」(輸入販売元:アイレックス) |
次点3 | 「有機ELモニター」(ソニー) |
次点4 | AVアンプ「SC-LX85」 |
麻倉氏:1962年に「1961年度第34回アカデミー賞」の10部門を独占した「ウエスト・サイド物語」のレストア版Blu-ray Discが、21世紀フォックスから「50周年記念盤」として12月16日にリリースされます。近年、レストアによってフィルムが持っているリソースにどこまで迫れるかというチャレンジが続いていますが、とくに今年は「山猫」や「ベン・ハー」などオリジナルに極めて近いBDがリリースされています。ここまでの画質、ここまでの情報があったのかと分かったことが最大の驚きですね。
ウエスト・サイド物語は、見事な映像にくわえ、レナード・バーンスタインの音楽、演出、そしてダンスなど、「本物に触れた」と感じることができます。とくに劇中曲「Tonight」の変調は興味深いです。専門の音楽理論的にはハ長調の次に変ホ長調、変イ長調を経てオリジナルのハ長調に戻るという破天荒なテクニカルな遠隔転調の連続ですけれど、技巧的に感じさせず、実にスムーズに感情の盛り上がりを盛り上げるのです。改めて感動しました。
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