東芝は3月27日、レグザ「55X3」のオプションとして、PCやJVCケンウッドの4Kビデオカメラと組み合わせ、4Kネイティブ映像を映し出すための“4Kボックス”こと4倍画素QFHD映像入力アダプター「THD-MBA1」を発表した。受注生産品として3月30日に発売する。価格はオープンプライスだが、店頭では20万円前後になる見込みだ。
55X3は、フルHDのちょうど4倍にあたる3840×2160ピクセルの画素を持っているが、それを生かせるコンテンツはまだ少ない。現状では、BDソフトやデジタル放送の映像に「レグザエンジン CEVO」による超解像技術を施してアップコンバート表示するか、デジタルスチルカメラの画像を映し出すといった用途が中心だ。今回の4Kボックスは、PCやビデオカメラといったすでに市場にある機器と55X3の接続性を確保することで、その用途を拡大しようという試みだ。
4Kボックスの背面には、4つのHDMI入力と独自の出力ポートが搭載されている。この出力ポートは、業務用機器で使われるMDRコネクターと同形状ながら配線は独自というもの(50ピン)。付属のケーブルで55X3の背面にある26ピンコネクターと接続すれば、4K解像度で60Pの伝送が可能になる。現在のHDMI規格でも4K伝送は可能だが、フレームレートが30フレーム/秒(30P)に限られている。
4Kボックスが提案する用途は主に3つ。まず、PCに対応するグラフィックスボードを搭載し、HDMIケーブル4本で接続すること。例えばAMDのグラフィックスボード「ATI FirePro V7900」では4Kの60Hzまで動作を確認済みだ。また24/30HzまでならHDMIケーブル1本の接続でも4K映像を表示可能。同じくAMDの「Radeon HD 7750」での動作が確認されている。
2つめは、JVCケンウッドが3月16日に発表した業務用ビデオカメラ「GY-HMQ10」との組み合わせ。GY-HMQ10は、約1.67キログラム(バッテリー込み)のハンドヘルドサイズながら、1/2.3型829万画素“裏面照射”CMOSセンサーにより55X3と同じQFHD(3840×2160ピクセル)撮影が可能。また、4Kの撮影画面を4分割して4つのHDMI端子から出力する機能を備えているため、東芝の4Kボックスと55X3があれば、撮影した映像をリアルタイムに4K/60P出力できることになる。
また、4Kボックスは業務用4K映像ビデオレコーダーのモニターとしても活用できる。例えば、アストロデザインの「HR-7512-A」は、非圧縮の4K録画に対応したSSDビデオレコーダー。映像出力はHDMIと互換性のあるHD-SDI×4のため、それぞれに変換アダプターを取り付けてHDMIケーブル4本にすれば、非圧縮のQFHD/60Pのまま録画から再生・表示までをカバーできるという。
このほか、4つのHDMI入力それぞれにPCを接続して“境目のないマルチモニター環境”にしたり、4台のフルHDビデオカメラによる4アングル監視ディスプレイ、デジタルサイネージなど、その用途はニッチながらも幅広い。東芝の本村氏は、「4Kは、映像をとことん楽しむためのもの。大きなキャンバスによって新しい使い方が生まれるだろう」と指摘する。「テレビはスマート化といった進歩もあるが、4Kは映像表示装置としての“進化のど真ん中”。東芝は今年、4Kボックスを皮切りに4K関連商品を整えていく」(本村氏)。
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