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テレビのUSBポートに「SAFIA」を、iVDRコンソーシアムの提言USB録画は手軽だけど……

» 2012年05月31日 21時38分 公開
[ITmedia]

 ここ数年、薄型テレビのUSBポートに市販の外付けHDDを接続するとデジタル放送を録画できる“録画テレビ”が人気だ。しかし、テレビやレコーダーを買い替えたとき、外付けHDD内の番組を再生する手段がなくなることはあまり知られていない。5月31日に東京・秋葉原で開催された「iVDR Expo」(iVDRコンソーシアム主催)では、USB外付けHDDの利便性を上げるため、iVDR-Secureに採用している著作権保護技術「SAFIA」の導入を進めようと呼びかけた。

「iVDR Expo」の会場には最新のiVDR機器が並ぶ。左から日立マクセルの「VDR-R3000」、HGSTの「iP1000X4」。iP1000X4は、ノンセキュアタイプのiVDRを4連装で最大4Tバイトのストレージになる。中はハブ構造のため、4台のHDDを同時に接続する形。同社によると、東芝レグザでの動作は確認済みという

 USB外付けHDDへの録画機能は、東芝“REGZA”が先行して人気を博し、現在では国内テレビメーカーのほとんどが対応している。昨年あたりからは、Blu-ray Discレコーダーの拡張ストレージとしてもUSB外付けHDDが一般的に活用できるようになった。

 PC周辺機器としてメジャーなUSB外付けHDDは、比較的安価かつ手軽に入手できるため、ユーザーにとってコストと手間の両面で優れたソリューションだ。しかし、デジタル放送コンテンツの著作権を保護するため、テレビは機器にひも付けられた暗号化を施し、録画したテレビ以外では再生できないという“機器縛り”が生じることになった。着脱自在のUSB外付けHDDにもかかわらず、同様の機能を持つほかのテレビやレコーダー接続しても録画した番組を再生することはできない。

 実際のところ、“機器縛り”の問題は録画テレビ登場時から指摘されていたことだが、当時は特定機種の持つ付加価値的な機能であり、台数も限られていたために問題視されることは少なかった。しかし同様の機能を搭載したテレビが増え、アナログ停波を機に急速に普及すると、問題は表面化してくる。

アイ・オー・データ機器の細野昭雄社長(左)とデジタルメディア評論家・日本画質学会副会長の麻倉怜士氏

 「ユーザーは使っているうちに不便を感じるようになる。デジタルテレビが普及していない頃と違い、今は周りにも似た機能を持つテレビがたくさんあるため、つなぎ替えて見たいと思う人が出てくるものだ。われわれのサポート窓口にも『つなぎ替えると映らない』という問い合わせがたくさんあった」(アイ・オー・データ機器の細野社長)。

 また、デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏は、震災以降に外付けHDDに関する相談を受けることが多くなったという。「特定のテレビやBDレコーダーに“紐付き”では、買い替えに対応できない。地震でテレビが壊れて新調したところ、以前録画した番組が見られなくて困った人が多くいた」(同氏)。壊れたテレビを修理するより、新型を購入するほうが安いという状況も要因の1つだと指摘する。

 SAFIA(Security Architecture For Intelligent Attachment device)は、日立製作所、シャープ、パイオニア、三洋電機が2005年に発表したコンテンツ保護技術。記録するコンテンツはAES-128により暗号化され、デバイスとiVDRの間はPKIをベースとした双方公認証処理が行われる。iVDRというリムーバブルメディアを前提に開発したため、対応機器間の相互利用も前提条件。SAFIAに対応するUSBポートを持ったテレビとUSB外付けHDDであれば、メーカーを問わずに録画番組を再生できる。

アイ・オー・データ機器が参考展示したSAFIA対応のUSB外付けHDD

日立のWoooシリーズ

 アイ・オー・データ機器は、iVDR ExpoにSAFIA対応の外付けHDDを参考出品。「形はUSB外付けHDDだが、iVDR-Sと同じ機能を実現できる。テレビやレコーダーは専用スロットを持たなくていい」と話す。ただし、テレビ側でUSBポートがSAFIAに対応しているのは、日立コンシューマ・エレクトロニクスの“Wooo”のみだ。

 「SAFIA対応のUSB外付けHDDというアイデアは、既にiVDRコンソーシアムで承認されている。今後は、啓蒙活動により、ほかのテレビメーカーにも採用を呼びかけていきたい」(アイ・オー・データ機器)。

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