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直下型だから描ける“漆黒の闇”――ソニーの4Kテレビ「KD-65X9500B」山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)

» 2014年04月21日 16時32分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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BD「ゼロ・グラビティ ブルーレイ&DVDセット2枚組」。販売元はワーナー・ホーム・ビデオ。価格は3980円。第86回アカデミー賞で監督賞など7部門を受賞した

 映画Blu-ray Disc「ゼロ・グラビティ」2D版の冒頭部を本機の「シネマ1」と「シネマ2」で見比べてみたが、その違いが実に面白かった。モニター画質を標榜する「シネマ1」のフラットでナチュラルな画調に対して、XDR PROとACEがはたらく「シネマ2」は映像によりメリハリが付き、きわめて明快で清新な画質となる。具体的には満天の星の輝きや美しく青く光る地球の大気圏の白がいっそう鮮やかに見えるのである。

 ACE技術の巧みさに驚かされたのは、漆黒の闇に放り出されたライアン・ストーン(サンドラ・ブロック)の宇宙服頭部両脇のLEDライトの描写だった。XDR PRO によってライトがいっそう強く光りながら、「シネマ1」では判然としないLED ライト内部の円上のラインがACEによってくっきりと浮かび上がってくるのだ。なるほど伝送系で失われた明部階調も、その痕跡が残っていればそれをエンハンスすることで生々しく甦らせることができるという開発者のことばにウソはさないと実感させられた次第だ。

ブラビア史上最高“音”質の「X9200B」シリーズ

 さて、85V型と65V型の2モデル展開となる「X9500B」は、狭ベゼル・デザインが採られていて、「X9200A」のような本格的なサイド・スピーカーは採用されていない。「ブラビア史上最高画質」を目指した「X9500B」シリーズでBlu-ray Discなどの高音質ソフトを楽しみたい方は、ぜひ良質なHi-Fi用スピーカーと組み合わせてほしいというメッセージなのだろう。確かに「KD-65X9500」の高画質を前にすると、企画開発陣のその思いに誰もが納得させられてしまうはず。それくらいコントラスト向上を果たした「KD-65X9500」のオーバーオールの画質のよさに筆者は強い感銘を受けた。

「X9200A」シリーズ(左)とオプションのワイヤレス・サブウーファー「SWF-BR100」(右)。市場想定価格は3万円前後

 「X9200A」シリーズの高音質サイド・スピーカー思想は、65V型と55V型が用意される「X9200B」シリーズが引き継ぐことになる。「X9200A」では背面に配置されていたサブウーファーが正面両サイド・スピーカーの最下部に回され、2Way+サブウーファーから本格的な3Way構成になったのが最大の注目ポイント。この設計変更に合わせて、横から見ると下部に向けて末広がりのくさび型に本体構造が改められ、エンクロージャー容積をかせいでいるのが分かる。

 実際に聴いたその音は、「X9200A」以上に全帯域に渡って位相がぴたりとそろったまとまりのよいもので、映像と音像のなじみがいっそう向上した印象だ。プラスチック系振動板が採用されていたウーファー/ミッドレンジのそれがより強度が取れるグラスファイバーに変更され、より歪(ひずみ)感の少ないクリアなサウンドが実現されていることにも注目したい。

 また、ソニーは今回ブラビア専用のワイヤレス・サブウーファー「SWF-BR100」を用意、それぞれの製品に最適なチューニングをあらかじめ施しているという。65V型の「X9200B」シリーズにこのサブウーファーを加えてクラシックやロックの2ch収録の音楽ライブBDを何枚か観てみたが、ピラミッド状のエネルギーバランスに裏打ちされた、とびきりリアルなサウンドが楽しめ、その本格派ぶりに魅了された。「X9200B」と「SWF-BR100」の組み合わせは、画面の下から音が聴こえる違和感がぬぐい去れない、あまた存在する凡百のサウンドバー・タイプよりもはるかに魅力的なサウンドを実現していることは間違いない。

ワイヤレス・サブウーファー「SWF-BR100」は白い壁紙のリビングルームにマッチするデザイン。USB接続のドングルをテレビ側に装着し、5GHz帯無線で飛ばす仕組み。2014年モデル(一部を除く)に対応する

 また、ソニーオリジナルのバーチャル・テクノロジー「S-Force フロントサラウンド」の自然な音の広がりにも改めて感心させられた。映画BD「ゼロ・グラビティ」冒頭のNASAとの交信音が、サイド・スピーカーのはるか外、視聴位置の真横から生々しく聴こえてきて、そのリアルな音像描写に耳を疑った。サイド・スピーカーを基本とする、このソニーのテレビ高音質化作戦を筆者は断固支持したい、と思わずリキんでしまいたくなるほどの見事さだ。

 そんなわけで、ブラビア史上最高画質と最高音質を「X9500B/X9200B」の両面作戦で実現したこの夏のソニーの展開は実に興味深い。まずは店頭で多くの方にその魅力に触れていただきたいと思う。

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