Appleが6月8日(現地時間)に米国で開催したアプリケーション開発者向けの年次イベント「WWDC 2015」(Worldwide Developers Conference)で、「iOS 9」と「watchOS 2」、「OS X El Capitan」という3つのOSの最新バージョンを披露したほか、うわさされていた音楽ストリーミングサービス「Apple Music」を発表した。
基調講演では、まずMac向けのOS「OS X El Capitan」(エル・キャピタン)が発表された。エル・キャピタンは、現行の「OS X Yosemite」(OS X 10.10)に由来する米ヨセミテ国立公園にある花崗岩の一枚岩のことだ。
新OSでは、SafariやSpotlight、Mailなどでより直感的な操作を実現するほか、自然な言語での検索を実現している。また、パフォーマンス面での改善もめざましく、レンダリング効率が最大40%向上、アプリの切り替えは最大2倍、PDFを開く速度は最大4倍になり、バッテリー駆動時間も延長するという。
El Captitanの提供時期は開発者向けが本日、パブリックβが7月、一般公開は秋の予定だ。
iOSの新バージョンとなる「iOS 9」では、新たに文脈を解析してユーザーが能動的に操作する前にその場で必要な要素をあらかじめ示す新機能「Proactive Assistant」が導入された。ホーム画面から左スワイプで呼び出せるほか、よく使う連絡先やアプリ、Webサイトなどがまとめて表示される。加えて、Siriやシステム検索からサードパーティー製アプリも連携できるよう、サーチ用APIも用意される。
さらにバッテリー駆動時間も延長し、同じハードウェアでも低消費電力モードの強化でさらに1時間延長するという。
iPadでのマルチタスクも新たにサポート。2:1の分割画面でアプリを利用できたり、Safariや写真といったアプリを開きながらメモにドロップしてスクラップしたり、キーボード上の2本指スワイプで範囲選択するといった操作も行える。
新アプリとして、「News」が加わった。著名なメディアの記事を好みに合わせてカスタマイズし、雑誌的なレイアウトで表示されるのが特徴だ。まずは米国と英国、オーストラリアでサービスインされる。メモでは写真や手書き機能の追加、ブラウザからのサムネイル付きリンク挿入が可能になるほか、Mapでは乗り換え案内機能をサポート。
Apple Payが7月から米国に続いて英国でも展開され、米国スタート時より多い25万店舗で導入されるという。iOS 9では店舗のポイントカードやスタンプカードもApple Payに統合し、同時にPassbookの名称がWalletに変わる。
プログラミング言語のSwiftもSwift 2となり、iOSとOS X、Linux用に提供されるだけでなく、オープンソース化されたのがポイントだ。
6週間前に発売を開始したばかりの「Apple Watch」では、新OSの「watchOS 2」が発表された。watchOS 2では、モジュラー形式で追加できるコンプリケーションをサードパーティに解放。時計機能では、写真や写真アルバム文字盤、世界都市のタイムラプス動画などがウォッチフェイスに加わるほか、デジタルクラウンを回して時間をさかのぼって通知などを確認できる「Time Travel」機能も追加された。メールのメッセージがApple Watchから返信可能になったり、FaceTimeオーディオの高音質通話に対応したり、Siriに話しかけて地図表示やナビも可能になった。
watchOS 2も開発者向けが本日提供開始され、一般公開は秋の予定だ。
最後に、ティム・クックCEOは「One more thing」として「Apple Music」を公開。Apple Musicは、アルゴリズムで作成されるプレイリストや世界中のラジオ放送を聞けるだけでなく、アーティストが音楽をはじめとして動画や写真なども音楽ファンに届けることができるエコシステムを提供する。
iTunesだけでなくグローバルなラジオ局「beats 1」を統合し、ニューヨークやロサンジェルス、ロンドンからも放送が行われるという。6月中に日本を含む世界100カ国以上でサービスが開始される。
料金は1カ月で9ドル99セント、ファミリーパック(6人)ならば14ドル99セントとなり、当初3カ月は無料で使用可能だ。iOS 8.4以降を搭載したiPhoneやiPad、iPod touchおよびMac、Windowsで扱えるほか、Android搭載機でも晩秋に利用できるようになる。
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