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いい音と操作性――ハイレゾ対応ポータブルオーディオプレイヤーの魅力に迫るハイレゾスタートガイド(2)(1/5 ページ)

» 2015年11月17日 00時01分 公開
[山本敦ITmedia]

 前回はハイレゾを楽しむための最も手軽な手段として、スマートフォンの活用を提案した。一方で専用のハイレゾ対応ポータブルオーディオプレイヤーは、使い勝手がシンプルで、何といっても“音がいい”。手軽さについてはスマートフォンと肩を並べるほどだが、両者の違いはどこに生まれるのだろうか。ハイレゾスタートガイド・第2回目のテーマは「ポータブルオーディオプレイヤー」だ。

“2台持ち”のススメ

スマホとハイレゾ専用プレイヤーの“2台持ち”は少し煩雑だが、メリットも多くある

 スマートフォンの本質は、当たり前のことだが“電話”である。だから音楽を聴いている最中に電話がかかってきたり、メールが着信することもある。やはり音楽は集中して聴きたいという方には、通信機能を持たないポータブルオーディオプレイヤーがおすすめだ。ただし、外出時にスマートフォンを手放すわけにはいかないと思うので、音楽を聴くための機器をもう1台持って出かける、いわゆる“2台持ち”にはデメリットもある。だから、ポータブルオーディオプレイヤーはできるだけ軽くてコンパクトなものを選ぶか、あるいはスマホと別途持ち歩くだけの意味があるほど、こだわりの1台を選んで使いたい。

 スマートフォンをさまざまな用途に使っていると電池が減る。いざ音楽を聴きたい時に、バッテリー残量があとわずかという場合もある。対してポータブルオーディオプレイヤーの場合は基本的に音楽を聴くことに用途を特化させることができるので、比較的電池の減りは遅い。“2台持ち”していればスマートフォンの電源は音楽を聴くこと以外に活用できる。最近の製品を使ってみた感触をざっくりと比べると、ポータブルオーディオプレイヤーはスマートフォンに比べて2〜3倍以上は電池が長持ちする製品が多い。しかもスペック上に書かれているバッテリーの持続時間は連続して音楽を聴き続けた時の計測値を元に参考として紹介している場合が多いので、実際の使い方としてはもっとこまめに本体の電源をオン・オフしているもの。だからスペックに書かれている時間よりも長く、使い方によっては数日間充電しなくても音楽が聴ける場合もある。

 スマートフォンもポータブルオーディオプレイヤーも、内蔵メモリー、あるいはSDカードなどに音楽ファイルを保存して使うわけだが、ポータブルオーディオプレイヤーはそのストレージ領域をフルに音楽ファイルのために使える。だから、1件あたりのファイルサイズが大きいハイレゾも多くの楽曲が持ち歩ける。また再生できるファイル形式も、ハイレゾはFLAC/WAVが中心のスマートフォンより、さらに幅広いことが多い。

ハイレゾ音源は容量が大きく、1曲で100Mバイトや200Mバイトは普通にある。スマホだけの場合は容量もキツイ

 そしてポータブルオーディオプレイヤーは、さすがに専用機を名乗るだけのことはあって、「音のいい」製品が多い。Bluetoothのワイヤレス再生についても高音質なオーディオコーデックであるaptXやAACに対応する製品もある。おすすめの製品はこのあとでいくつかご紹介するが、本体に高音質なパーツをふんだんに使ったり、スマートフォンよりもハイパワーな出力が得られるので、組み合わせるヘッドフォンやイヤフォンの自由度が広がる。アウトドアリスニング時にボリュームを最大値に近いほど上げる必要がなくなるので、機器にも耳にもやさしい。

 そして最後に、ポータブルオーディオプレイヤーはスマートフォンよりも多彩な入出力端子を備える製品もあるので、ポータブルタイプのアンプやUSB-DAC、バランス接続対応のヘッドフォンなど、よりバラエティ豊かな外部機器との接続性・拡張性が高い。だから自分の好みのサウンドに追い込める余白が広いのだ。

ティアック「HA-P90SD」の例。LINE IN(アナログ外部入力)とデジタル入/出力の兼用ジャックを装備している

 ポータブルオーディオプレイヤーといえば、少し前まではAppleのiPodやソニーのウォークマンが一般的だったが、ハイレゾブームが訪れてから、今では国内・海外からたくさんの注目モデルが続々と誕生している。続いて、今のポータブルオーディオプレイヤーをトレンドごとに別けて、それぞれの代表的な製品をみていこう。

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