シグマがミラーレス一眼用に開放F値1.4のレンズをCP+ 2016で発表した。その名は「30mm F1.4 DC DN | Contemporary」。同社はすでにミラーレス一眼用に3本のレンズをリリースしているが、この新しいレンズは歪曲収差にデジタル補正を採用するなどアプローチが異なっているのが特長だ。
既存のミラーレス一眼用の「DN」レンズ3本は、各種収差を極力光学的に補正するという「Art」ラインに属す製品だったが、30mm F1.4 DC DN | Contemporaryは小型軽量化を実現するため、歪曲収差をカメラボディ内のデジタル補正を利用するというスタイルを取っている。なので「Contemporary」ラインに属するというわけだ。
といっても高屈折率高分散ガラスや両面非球面レンズ、非球面レンズなどを採用し、周辺光量の低下を抑えつつ、倍率色収差の低減を図るなど画質に対する妥協はない。レンズは開放F値1.4を実現しながら、コンパクトで軽量に仕上がっており、軽快なミラーレス一眼との相性もピッタリとなるように設計されている。外観も既存「DN」レンズの光沢感のあるものと違って、同社のフルサイズ、APS-C用レンズのトーン&マナーを取り入れて高級感があるものになっているのが嬉しい。
写りもいい。開放でのボケを楽しむのもいいし、チョイ絞りでシャープネスとコントラストを高めてカリッとした描写を楽しむこともできる。この取り回しのいい大口径レンズは、ミラーレス一眼で明るい単焦点標準レンズを探していた人には気になる1本になることだろう。
なお、2016年3月31日現在、30mm F1.4 DC DN |Contemporaryマイクロフォーサーズ用において、JPEGでの撮影時に歪曲収差補正データが反映されない問題が見つかっている。近日中にファームアップが行われ、この現象は解消する見込みだが、詳しい情報はシグマのWebウェブサイトを参照してほしい。すでに購入済みのユーザーに対しては、3月28日から修理を受け付けている。
マイクロフォーサーズで60mm、ソニーEマウントで45mmという焦点距離になるが、準標準レンズとしてオールマイティーに使えるだろう。波止場で夕陽を浴びる古い灯台を撮影したが、その表面の描写がじつに克明でこのレンズの力に驚かされた。
開放F値1.4ながら、全長約73mm、重さ265gのこのレンズはミラーレス一眼の軽快さをスポイルすることがない。TSCと呼ばれる特殊なポリカーボネートを鏡筒や絞りに採用し、レンズ本体のガタや変形を抑制している。オートフォーカスも静かかつ高速だ。
このレンズはキットレンズのズームからのステップアップレンズとして最適化もしれない。その理由は明るいレンズだということ、そして最新レンズなのに比較的買いやすい価格だからだ。新しいだけあって、もちろん描写も優れているからである。
ローアングルでチョイ絞りでネコの瞳にフォーカスしてシャッターを切った。ピントの合った部分のシャープさと、そこからきれいにボケていく描写がいい感じだ。ネコの毛のモフモフ感がよく表現できていると思う。背景のスムーズなボケ味も気に入った。
ブラブラ撮影中、目が合ったクロネコを塀伝いに。前ボケの塀が主題であるクロネコをうまく浮かび上がらせてくれた。高速で正確なオートフォーカスは、絞り開放付近でもガンガンとシャッターを切っていける。
付属する大型フードが嬉しい。カメラボディとフードを持って撮影することも考慮されていて、滑らないように溝やラバーの加工が施されている。手ブレ補正機能がないカメラでもしっかりとホールドできる。
最短撮影距離は30cmなので、テーブルフォトや小物撮影でも活躍しそうだ。もちろん開放値を生かしてのポートレート撮影にもいいだろう。明るく、軽いミラーレス一眼カメラ用レンズを探している人は、店頭で試してみると良さを実感できると思う。
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