「無印良品」を展開する良品計画が全自動コーヒーメーカーの新製品「豆から挽けるコーヒーメーカー」を発表しました。これがコーヒー好き――とくにハンドドリップにこだわるツウ好みの製品になっています。
製品のコンセプトは、ずばり「ハンドドリップで淹れるような細やかさと丁寧な抽出を妥協することなく再現すること」。従来のコーヒーメーカーの淹れ方を見て「おおざっぱすぎる」と感じていた人たちに注目してほしいポイントが5つ、いや6つはあります。
まずはコーヒー豆を粉にするミル(豆挽き)機能です。自宅でコーヒー豆を挽くのは、豆の鮮度維持に加え、コーヒー豆の種類や焙煎の具合、そのときの気分に合わせて挽き方を変えるためでしょう。ただ、業務用ミルと違い、家庭用の低価格なミルで豆を均一に挽くことは難しいのが現状でした。そこで「豆から挽けるコーヒーメーカー」では“フラットカッターミル”――平行に並んだ固定刃が豆を挟むようにして挽いていく方式を採用し、粒を均一にします。摩擦熱の発生を抑え、豆の香りを飛ばさないというメリットもあります。挽き方は5段階で、好みや豆に合わせて選べます。
次のポイントは、抽出時のお湯の温度。コーヒーを抽出する際、味と香りを引き出すのに適した温度は87°C前後といわれていますが、従来のコーヒーメーカーは沸騰したお湯を使うものが多く、温度が高すぎて「苦みが強く出過ぎてしまう」そうです(同社)。そこで「豆から挽けるコーヒーメーカー」では、湯沸かし容器の下にヒーターを設置し、湯温をセンサーで管理しながらお湯の温度を87°C前後に保ちます。
さらに“蒸らし”の工程も再現しました。蒸らしは、挽き終わったコーヒー全体に少量のお湯を注ぎ、全体がふっくらと盛り上がるまで待つというもの(盛り上がった部分はコーヒードームと呼ばれます)。コーヒー豆に含まれる二酸化炭素を抜くとともに、後でしっかりと豆の成分を抽出するための重要な作業ですが、一般的なコーヒーメーカーではあまり考慮されていませんでした。「豆から挽けるコーヒーメーカー」では、最初に少量のお湯を落とし、およそ30秒の蒸らし時間を確保します。
お湯の注ぎ方にも一工夫。手淹れに使うコーヒー用のドリップポットは注ぎ口の先が細くなっていますが、これは狙った場所に適量のお湯を注ぐため。コーヒードームにお湯を注ぐと、今度は中心部が沈んでドリッパーに沿った“コーヒーの壁”ができます。これを維持しながら数回に分けてお湯を注ぎ、ゆっくりと抽出するのが基本。コーヒーの壁の外側にお湯を注いでしまうとフィルターの外を通ってサーバーに落ちてしまい、コーヒーが薄くなってしまいます。
「豆から挽けるコーヒーメーカー」では、ドリッパーの上に円形に注ぎ口を設け、そこから中心部に向けてお湯が出てくる「斜めシャワー方式」を開発しました。しかも、3杯分と1杯分ではコーヒー豆の量が異なりますので、シャワーの角度を変えてお湯を落とす位置を調節するそうです。
一方で保温機能は控えめ。20分が経過すると自動的にオフになります。もともと一度に淹れられるコーヒーは1杯から3杯(最大450mL)と控えめなので問題はないでしょう。煮詰まったコーヒーはまずいですから。
以上5つが製品の機能から注目したポイントです。ただ、こだわりのハンドドリップ派としては1つ忘れてはいけない工程が残っていました。
それは、ミルで豆を挽いた後、揺らしながらやさしく息を吹きかける作業。雑味の原因となるチャフ(コーヒー豆の皮のカス)を風で飛ばし、取り除くために行うものですが、さすがの「豆から挽けるコーヒーメーカー」もそこまではやってくれません。もちろん「ミルだけ」「ドリップだけ」という使い方はできるので、挽いたコーヒー豆を一度取り出せば問題なくフーフーできるでしょう。
いずれにしても、ハンドドリップの基本に従い、ここまで理想的な淹れ方を追求したコーヒーメーカーは初めてではないでしょうか。価格は3万2000円(税込)とお高めですが、毎日使うことを前提にすれば、むしろコストパフォーマンスは高いのかもしれません。発売は2月16日の予定で、既に予約は受け付けています。
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