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コーヒー通への道はIoTから――「アカイア・コーヒー・クラブ」

» 2016年03月30日 15時14分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 挽いたコーヒーにお湯を少し落とし、蒸らすときの香りはたまらない。一気に広がる芳醇な香りはコーヒー豆とのファーストコンタクトであり、その後に訪れる至福の時間を約束する合図でもある。そんなコーヒー好きにはたまらないサービスが始まった。

 3月30日にオープンしたクラウドファンディングサイト「+Style」に登場した「アカイア・コーヒー・クラブ」は、コーヒー豆の宅配にIoT(Internet of Things)を絡めたサービスだ。スペシャリティコーヒーの初心者向けに企画したいうだけあって、その内容はユニーク。世界中から集めたコーヒー豆を紹介するとともに、IoTを駆使しておいしい淹れ方を伝授してくれる。

スターターキットの中身。Kalita製のドリッパーやガラスサーバー、豪Rhinowaresの手挽きミル「Hand Grinder」、acaiaの電子スケール「パール」、細口のポット、ペーパーフィルターなどがセットになっている

 サービスに加入すると、最初にコーヒー豆とドリッパーやケトル、サーバーなどの道具一式が詰まったパッケージが送られてくる。この中に入っているのが、米国の計測器メーカーacaia(アカイア)が開発したBluetooth対応の電子スケール(質量計)「パール」だ。

 このスケールと専用アプリ「Acaia Coffee」(iOS/Android)でできることは意外と多い。コーヒー豆の種類や器具、コーヒーとお湯の量を入力すると、後はアプリのタイマー設定に従ってお湯を注ぐだけで、おいしいコーヒーが淹れられる。また後日、同じコーヒーを淹れるときの参考にもできる。例えば前回より少し濃くしたいと思えば豆の量を増やし、薄めにしたければ水を足せばいい。タブレット上で比率を操作すれば、どの程度水を入れれば良いか教えてくれる。

専用アプリ「Acaia Coffee」の画面

 またスケールの上にサーバーとドリッパーを置き、お湯を注ぐと、その重量をリアルタイムにグラフ化する機能もある。つまり、1回のドリップにどのくらいの時間をかけ、どれだけのお湯を注いだかまで視角化してくれるわけだ。専用アプリは各種SNSとの連携も可能。自分の淹れたコーヒーを共有できるほか、世界中のコーヒー通が共有した写真やレシピも参照できる。プロのドリップを真似ると上達が早いかもしれない。

お湯を注ぐと、その重量をリアルタイムにグラフ化

 もう1つの大きなポイントは、月に2回、2種類ずつ送られてくるコーヒー豆だ。世界焙煎技術コンテストで5位に入賞した焙煎士、内田一也さんが世界中から集めたコーヒー豆を100gのパックにしたもので、産地や生産者の写真とともに、テイストプロファイル(味の解説)や農園のストーリーまで紹介している。万人受けを狙ったブレンドではなく、1人の生産者が育て上げた素の豆の味を楽しめるのがうれしい。

ボリビアのニコラスさんが育てたコーヒー豆

 「話題のサードウェーブコーヒーの中でも最上位クラスのスペシャルティコーヒー豆です。専門店で購入すれば100gで1000円以上はするはず」(同社)。

 ユニークなIoT機器を宅配サービスと組み合わせた「アカイアコーヒークラブ」。気になるお値段は、スターターキットと3カ月のコーヒー宅配がセットになって4万2120円(税込)。キットに含まれるアイテムの品質やスペシャリティコーヒーの市場価格を考えれば割安な価格設定だという。また1年間で7万2180円のコースも用意した。

FBCインターナショナルの上野登代表

 「アカイア・コーヒー・クラブ」を運営するFBCインターナショナルの上野登代表は、「世界初の試み。おいしいコーヒーのある、豊かなライフスタイルを提案したい」と話す。またIoTデバイス中心のクラウドファンディングサービスで展開することについて、「PCやITが好きな人と、コーヒーが好きな人、実はけっこうかぶってますよね」と笑った。

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