ドン・キホーテのプライベートブランドから発売された50V型4Kテレビが人気です。初回生産分の3000台は1週間で完売し、現在は予約の受付を一時休止。東芝製のデジタルボードを搭載し、価格も5万4800円(税別)と安いため、ネット上では「ジェネリックレグザ」などと呼ばれて注目を集めています。
一方、東芝映像ソリューションは6月19日、自社サイトに「当社製デジタルボード搭載の他社液晶テレビについて」という告知を掲載しました。これによると「当社(東芝)はこれらの液晶テレビの製品としての開発、設計、デザイン、企画、製造及び販売等には関わっておりません。また当社は、製品としての当該液晶テレビについての性能や品質を保証するものではありません」。どうやら東芝製品と誤解した問い合わせなどがあったようです。
確かに「ジェネリックレグザ」という言葉はキャッチーです。おそらくジェネリック医薬品から来たものだと思いますが、個人的には薬と家電を同列に語ることについては抵抗があります。そもそもジェネリック医薬品とは、特許切れの薬を他社が製造するもので、成分や効き目は全く同じ。効能や安全性は既に分かっていて、一般的に広く使用される薬のことを指します。
一方、家電にはさまざまな構成要素があり、一部の機能や部材が共有されていても同じモノにはなり得ません。また東芝が他社に供給しているのは「一般的なテレビ受信機能の処理ボード」(同社広報)であり、少なくともレグザの開発チームが手がけてきた最新の機能や高画質処理は含まれていません。理由は単純で、デジタルボードの外販などはB2Bの事業部が行っており、レグザ開発チームとは組織から違います。
今週掲載したレグザ関連のインタビューやレビューからも分かるように、テレビの機能や画質は、ハードウェアとソフトウェアの作り込み、そしてチューニングのノウハウといった複雑な要素が絡み合い、コストと時間を掛けて作られるものです。おいそれと他社に供給できるものではありません。
もちろん東芝製デジタルボードを搭載したドン・キホーテの4Kテレビがコストパフォーマンスの高い製品である可能性は十分にあります。残念ながらゲーム遅延時間などの細かいスペックは分かりませんし、品薄のため製品を見ることもできていませんが、もし素晴らしい製品に仕上がっているのであれば、それは東芝というより、東芝製デジタルボードをうまく使って低価格な4Kテレビを開発した人たちの功績であるはずです。
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