切り札は値引券配布、逆襲の吉野家誠 Weekly Access Top10(2010年3月27日〜4月2日)

» 2010年04月08日 00時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「こんなモノを身につけてはいけない? 男性のNGグッズとは」。2位は「新入社員のマナー違反に『イラッ』と感じることは」、3位は「ここでは働きたくないなあ……と大学生が思う業界」だった。

吉野家の逆襲

 誠でしばしばお伝えしているファストフード業界のネタ。その一角で4月7日、熱い戦いがスタートした。吉野家が「春の牛丼祭」と銘打って、値下げキャンペーンを開始したのだ。4月7日から13日のキャンペーン中は、牛丼並盛りが定価の110円引きの270円となる。競合であるすき家の牛丼並盛り280円や、松屋の牛めし並320円を下回るのだ。

 せっかくなので、筆者も吉野家の神田小川町店を訪れて、牛丼を食べることにした。この店は10メートルほど東に松屋があるので、今回の戦いの舞台の1つとなる。20時半ごろに店に入ると、10人強のお客さんが座っていて、1階のカウンター席はほぼ埋まっていた。実は6日にも同じような時間帯に訪れたのだが、その時のお客さんは3人ほど。確かに値下げの効果は出ているようだ。

 とはいえ、吉野家のキャンペーンに対抗して、すき家は4月9日から21日まで牛丼並盛りを250円に値下げ、松屋も4月12日から23日まで牛めし並を270円に値下げすると発表している。そのため、「この客入りも今日と明日だけだろうなあ」と思いつつ牛丼を食べ終えたのだが、レジで会計をした時、異変があった。「どうぞ」と1枚の紙を渡されたのだ。

値引券(表面)

 50円引き券である。なるほど、値引券で安くなる50円を計算に入れると、実質的に牛丼並盛りを220円で食べられることになるので、これなら松屋やすき家の価格に対抗できる。ただ、よくよく見ると、値引券の対象は玉子やみそ汁などのサイドメニューだけ。恐らく牛丼単品で使われると、利益率が上がらないので困るのだろう。使用期間も4月13日から5月31日までと、キャンペーン中は使えない。まあキャンペーンの目的は、継続的に来てもらうためのきっかけ作りだろうから、これはこれでいいのかもしれない。

 冷静に考えてみると、この値引券が牛丼に使えたと仮定しても、牛丼1杯当たりの平均価格は「(270円+(380円−50円))÷2=300円」と、すき家の牛丼並盛りの定価に及ばない。だが、筆者が吉野家の経営陣だったとしても、これぐらいしか他チェーンに対抗する現実的な手段は思いつかない。すき家や松屋のキャンペーンに対抗するために作られた値引券かは分からないが、やれるだけやろうという、今回の1戦にかける吉野家の意地を感じた出来事であった。

値引券(裏面)

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