就活ナビサイトは「新卒一括採用のひずみを生み出す元凶」なのかサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)

» 2013年05月20日 09時53分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]
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広告モデルではないビジネスも当然発生している

 さらにもうちょっと調べると、就活ナビサイトを運営している会社が、単純にナビサイトをだけをやっているわけではないことに気がつくでしょう。

 例えば、ターゲットを明確に設定しているサービスが増えてきているのはその流れの一つです。看護師さんの就活サイトはその典型ですし、理系学生や海外留学生だけを対象にしているサービスも出てきています。そして、それらを見ていると、従来の広告型ではなくて「人材斡旋」による「成果型課金」で就活生を企業に送り込んでいるというサービスも存在することが分かります。また、最近たくさん登場している「従来の就活ナビサイトでの採用とは違う」採用システムの中にも「ユニークなコンテンツで集めた就活生が、就職内定したら企業から費用を受け取る」という仕組みをとっているケースが少なくないようです。

 就活生側から見ると、「数撃てば当たる」方式でたくさんのエントリーシートを書き、やっとこぎ着けた面接も「自分の適性に合っているのか」分からないまま話してしまい、結果は惨敗、途方に暮れる学生ばかり……という印象を持ってしまいます。が、就活支援サービスが多様化しているいま、そのことに気づいて「早めに手を打つ」ことで、現状を打破することができる可能性は高くなるのです。そして、その情報は別に専門家でなくても、少し検索してみるだけでたくさん手に入ります。知る人ぞ知るサービスでも、選ばれた人だけが享受できる仕組みでも何でもないのです。

 冒頭に「新卒一括採用については賛否両論あると思います」と私は書きました。私自身は、新卒一括採用を「すべての企業が選ぶ仕組みではない」と思っています。事実、新卒一括採用をやっていない企業はたくさんありますから。そう遠くない将来、仕組み自体を大きく見直す必要があるとして変わっていくことでしょう。しかし、多くの大学生が新卒一括採用という仕組みに乗らざるを得ない状況は、もうしばらく変わりそうにありません。だからせめて「その中でもたくさんの選択肢があるよ」と、迷ってしまうかもしれない就活生たちに提示することは大切だなと思っています。批判をして「就活が上手くいかないことの納得材料」を提供する前に、大人にはできることがあると考えているのです。

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