本連載は、北川邦弘著、書籍『なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?』(プレジデント社)から一部抜粋、編集しています。
家計簿はつけない、朝のニュースは見ない、割引券はもらわない、100円均一の店は利用しない、行列には並ばない、そして貯金はしない……。
お金持ちは意外な行動を取っている!? 「金持ち思考」と「貧乏思考」の違いとはなんなのか?
100億円の借金地獄を経験し、3000人からお金相談を受けた「お金のプロ」が、お金持ちになれる人となれない人の思考と行動を分析し、それぞれの考え方や習慣を明らかにする。
普通の人が一生、お金に困らないための秘訣が満載の1冊。
世の中にはお金に恵まれる人と、お金との縁が薄い人の2種類がいると思われている。つまりお金との相性が良い人はお金も貯められるし、投資も上手と世間は見ているのだ。 しかし、お金のプロ・専門家として、3000人以上のフトコロ具合を見てきた私には、実体はどうも違って見える。お金に縁がある人の中にも、大きく分けて2種類の人がいるのだ。
それはお金を貯めるのが得意な人と、お金を増やすのが得意な人だ。
例えば、私の知っているA子さんは32歳で、すでに1000万円の預金を持っている。何しろ倹約家で、無駄なお金をいっさい使わない。毎日家計簿をつけて予算管理をしっかりしているから、お金を貯めることにストレスも感じていない。
むしろお金が1000円、1万円、10万円と積み上がっていくことを最高の喜びとしてお金を貯めている。きっと40代の初めにはローンなしでマンションなんかを買ってしまうのだろう。本当にしっかりしている女性なのだ。
そんなA子さんに投資をすすめてみたが、これがさっぱり続かない。
お金が少しでも元本を下回るとすぐに、私のところに電話をかけてくるのだ。「下がらないものは上がらないよ」と慰めても聞きはしない。とうとう、ものの3カ月でマーケットから撤収する羽目となった。この人には複利のマジック(※1)も積み立て投資(※2)の効用も信頼するに値しなかったのだ。
一方で、投資が上手な人にはお金離れの良い人が多い。
私のお客様でもあるB男さんはタクシーに乗ってもお釣りは受け取らないし、飲みに行けばいつも人におごってしまう。とても貯金が貯まっているようには思えないのだが、投資も思い切り良くお金を投入するので、暴落相場でしっかり安値を拾っていける。B男さんには貯金はないが、投資ではしっかりと儲けている。A子さんにはお金を貯めるセンスはあるのだろうが、肝心のお金を増やす度量がない。B男さんにはお金を貯めることは望めないが投資は上手だ。両方あれば鬼に金棒と思うのだが、そういう人はほとんどいない。
人にはいろいろなタイプがいるもので、自分がどちらのタイプなのかを見極めることができれば快適な人生だ。サッカーでも、守備の得意な選手と攻撃の得意な選手がいる。守備が得意な人は、堅実で失敗が少ないが意外なプレーもしてくれない。ところが攻撃が得意な人は、ミスをしてもチャレンジし続けるので10回に1回くらいは素晴らしいプレーに結びつく。それがストライカーであれば十分にペイするというワケだ。さて、あなたのポジションはどこだろうか?
私が身近にお金持ちを見てきた経験から思うに、地震や台風で電車が止まってしまったときに、一歩でも自宅に近づこうと努力をするのがお金を貯める人。すぐにあきらめて飲みに行ったり、カラオケで朝まで盛り上がったりして能天気に時を過ごすことのできるのがお金を増やす人。
つまり発想を切り替えられない人は「貧乏思考」の人であり、お金は増やせない人でもあるのだ。
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