際立ったもので人を引きつける――特売モデル「王道」のビジネスモデル(3/3 ページ)

» 2014年04月28日 08時00分 公開
[細谷功,井上和幸,西本伸行,Business Media 誠]
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あなたの特売品は何か?

 特売品モデルとは、何か際立つものがあり、それを利用して来店を促すというものでした。あなたは仕事をするうえで、何か人を引きつけるような際立ったものを持っていますか? もしそれがあれば、特売品モデルのようにあなたの評価を高めることができます。

 人は長く仕事をしていれば、程度の差はあれ、経験やスキルを積み上げていきます。その中で、徐々に自分の得意技みたいなものが生まれ「データ分析と言えば○○」とか、「新規開拓営業と言えば○○」、という形で社内で名前が挙がることもあると思います。

 この「○○と言えば誰」と名前が挙がることが、あなたにとっての特売品のような位置付けになります。

 業種によっては、平均点の人材が求められる場合もあるかもしれませんが、一般的な会社においては、1つ秀でたスキルや能力を持っている場合のほうが評価が高くなりやすいものです。それは、社内で目立ちやすく役職者に覚えてもらいやすいという点と、比較的大きな会社では、業務が細分化しており、平均的にできる人よりも、専門業務ができたほうが使いやすいということが理由だと考えられます。

 たとえ得意技以外の業務が平均より下回ったとしても、1つできるものがあれば、評価は上がりやすい、つまり特売モデルのようなことが業務でも当てはまるのです。

 また、それを「お買得」に提供して知らしめることが特売品から学べることなので、例えば、その得意技を「格安」で提供できることを知らせる手段(ネットで公開するとか)とセットにして実行するとなおよいと思います。

転職でも特売品が大事

 転職の世界でもこれは変わりません。一般的に新卒採用の場合はその人の潜在的な能力を見るため、平均的に優れている人が採用されやすいものですが、中途採用においては「この仕事ができる人が欲しい」など、欲しい人材が明確である場合が多くなります。

 上位職になればなるほど「とりあえずなんでもできます」という人材ではなく、「これが得意です」という人が採用されるのです。

 また、転職においては、非常に短い時間と少ない情報で、その人を判断しなければなりません。なんでもできると思って採用したら、何もできなかったということも起こり得ます。そのため、採用する側にとっても、何か明確な経験と実績を残しているほうが採用しやすいのです。

 このように仕事においては、得意技を磨いていくほうが、その後のキャリア形成において役に立つことが多いのです。

今回のポイント

生みだす:1つおトクなものを作れば、ビジネスが広がる

生かす:得意技が1つ目立てば、全体が目立つ


(「王道」のビジネスモデル=終わり)

著者プロフィール:

細谷功(ほそや・いさお)

ビジネスコンサルタント/株式会社クニエ コンサルティングフェロー。東京大学工学部卒業。

東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティングに入社。製品開発、マーケティング、営業、生産等の領域の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定着化、プロジェクト管理を手がける。著書に『いま、すぐはじめる地頭力』などがある。

井上和幸(いのうえ・かずゆき)

株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO。ドラッカー学会会員。1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。

現在は、人材コンサルタントとして、企業の経営組織コンサルティング、経営人材採用支援・転職支援、経営人材育成プログラムを提供。

西本伸行(にしもと・のぶゆき)

ビジネスコンサルタント。元株式会社クニエ シニアマネージャー。


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