社会保険給付額や年金額まで――「通勤手当の有無」が大きな差を生むマネーの達人(2/2 ページ)

» 2014年11月10日 00時00分 公開
[木脇三博,マネーの達人]
マネーの達人
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保険給付額の違いの具体例

 では、健康保険の出産手当金と雇用保険の育児休業給付金を例に、整理してみましょう。

出産のため会社を休んだ場合の、健康保険からの出産手当金の支給額

 出産手当金とは、出産のため会社を休み給与を受けない場合に、出産の日以前42日から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として産前産後休業中に支給される健康保険の給付金です。

1年6カ月育児休業をした場合の、雇用保険からの育児休業給付金の支給額

 育児休業給付金とは、1歳未満(事情によっては1歳6カ月)の子どもを育てる親が利用できる育児休業中の収入減を補うための雇用保険の給付金です。

 このように、通勤手当の差による違いは、ほかの社会保険から支給される給付金の額にも影響することになります。同期入社の同じ基本給であっても、通勤手当の有無などによって毎月の支給額だけでなく、各保険の保険給付、年金額の差につながります。会社員にとって「通勤手当の差」も大きな差であると言えるのではないでしょうか。

 もちろん、通勤手当が高額ということはそれだけ通勤時間は長く、負担が増すことに繋がり、通勤手当の大小どちらが得かは一概に言えるものではありません。また、各月の保険料負担が増えるため、手取り額にも影響し、給付を受ける場面以外ではメリットを感じるより負担感のほうが重いことも考えられます。

 しかし、少なくとも、会社員にとって通勤手当の支給の有無や金額の差は、さまざまなところに影響があると言えるのではないでしょうか。(木脇三博)

著者プロフィール:

木脇三博

社会保険労務士法人NACマネジメント研究所 法人社員・役員

銀行系証券会社を経て、現在の社会保険労務士法人に至る。平成26年に役員に就任。企業の人事労務相談や社内制度の構築などコンサルティング業務を中心に各種セミナーなどを行う。共著として、『2014年版 現役社労士 労務担当者のための法改正がわかる本』を翔泳社より出版中。

保有資格:社会保険労務士、AFP、二級ファイナンシャル・プランニング技能士


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