マルチタスク対応の「iPhone OS 4」発表 今夏提供予定:iPad向けは秋に(2/2 ページ)
米Appleが4月8日、マルチタスクやホーム画面のフォルダ機能が新たに用意されるiPhone OS 4を発表した。iPhone 3GSと第3世代iPod touchでは、新OSの全機能が利用できるが、それ以前の機種ではマルチタスクなど一部機能が非サポートとなる。
メールの使い勝手を向上
今まで別々にしか見ることができなかった複数アカウントのメールを、1つの統合された受信ボックスで閲覧できるようになったのもOS 4での進化ポイントの1つ。アカウントを切り替えることなく新着メールを確認できる。
またExchangeのアカウントは複数設定できるようになり、利便性が向上した。またアカウントの切り替えも容易になり、受信ボックス間の移動が素早く行えるように改善されている。
メールのスレッド表示にも対応したため、特定の人や題名のやりとりを確認しやすくなったほか、メールの添付ファイルをアプリで開く機能も提供する。これでMicrosoft Officeのファイルや、PDFファイル以外のファイルがメールで送られてきても、慌てることなく対応アプリで確認できるようになる。
iPhone上でもiPadと同じ本を閲覧できる「iBooks」
OS 4向けには、iPadで提供した電子書籍リーダーiBooksも用意する。iPad向けの書籍はすべてiPhoneのiBooksで表示できるとのこと。
書籍は1度購入すればiPadでもiPhoneでも閲覧でき、ブックマークや既読ページのデータは同期されるという。「くまのプーさん」が無料プリインストールされており、操作感が容易に体験できるのもiPadと共通だ。
米国内ではiBookstoreも利用可能。海外でこの対応がどうなるかは明らかにされていないが、サービスが開始され次第、利用できるようになると思われる。
企業ユースに配慮した高度なセキュリティ
業務にiPhoneを活用する法人ユーザーが増えていることを受け、OS 4ではエンタープライズ対応機能の強化も図っている。メールや添付ファイルを暗号化することが可能になるほか、アプリ向けにもデータを暗号化するAPIを提供。データを強固に保護できる。
また業務用に開発したアプリケーションを容易にダウンロードできるよう、企業向けにはiTunesのApp Storeではなく、企業のサーバからアプリをダウンロードできる機能を提供予定だ。iPhoneの一括管理機能やExchangeの複数アカウントサポートなども用意する。
Juniper NetworksとCisco Systemsは、SSL VPN機能も提供予定で、iPhoneからのセキュアな接続も可能になる。
ゲームでのソーシャル機能をサポートする「Game Center」
今や5万タイトルを超えるゲームを擁する一大プラットフォームに成長したiPhone OS。単純なゲームだけでなく、ソーシャル機能に対する要望が高まっていることを受け、OS 4では新たにGame Centerという機能を提供する。
ここでは友達をゲームに誘ったり、対戦相手を募集したり、オンラインのスコアランキングで他のユーザーと競ったりすることができる。この機能はゲームアプリから容易に利用できるようになる予定で、自前のソーシャルネットワークを用意しなくても、ソーシャルゲームの開発が可能になる。
Apple独自の広告プラットフォーム「iAd」
かねてからうわさされていたApple独自のモバイル広告プラットフォーム「iAd」もOS 4に実装される。2010年1月にAppleがモバイル広告企業のQuattro Wirelessを買収したことから、同社がモバイル広告事業に関心を持っていることは知られていたが、早くもOSに直接広告プラットフォームを用意し、アプリ内でインタラクティブな広告や動画コンテンツの展開を可能にする。
Apple自身が広告枠を販売し、広告をホストするのが既存のiPhoneアプリ向けアドネットワークなどと大きく異なる点で、開発者には収益の60%を分配する。検索の結果に連動させて広告を表示するGoogleのように、Appleはアプリ内で関連性の高い広告を表示し、広告を見終わったらスムーズにアプリに戻れるような仕組みを実装する考えだ。しかもその広告はWebサイト上のバナーのようにインタラクティブで、なおかつテレビCMのように感情に訴えるようなものになるという。
iAdはHTML5を用いて、広告の中で動画を流したり、簡単なゲームを提供したりもできる予定で、アプリのユーザーが煩わしいと感じない、むしろ楽しいと感じるような広告を提供する。
なお広告は、どんな広告でも流せるわけではなく、Appleの事前審査が必要になるようだ。
以上ざっとOS 4の特長を列挙してきたが、今回のアップデートはOS 3.0でのアップデート以上に大きなバージョンアップとなりそうだ。特にマルチタスクはAndroidがiPhoneに対する優位性として常に挙げていた部分であり、OS 4でキャッチアップし、なおかつ使いやすいタスク管理機能を提供することで、大幅な使い勝手の向上が見込める。そのほかの機能もユーザーが現状感じている不満を解消するものが多く、夏のリリースが待ち遠しい。
なおiPhone向けのOS 4の配布は今夏の予定だが、iPadでの対応は秋になるもよう。
2009年は、3月17日にOS 3.0が発表され、コピー&ペーストやプッシュ通知、Spotlightなどの新機能が導入された。そして新OSへのアップデートは6月17日から配信が始まった。OS 3.0を搭載したiPhone 3GSは、6月8日のWWDC 2009で発表され、6月26日に発売された。今年はiPadの発売があったせいか、OS 4の発表が昨年より1カ月遅くなったが、OSのリリースが今夏とされていることから、今年のWWDCではまた新型iPhoneの発表が聞けそうだ。
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