技術オリエンテッドなHTCが“カワイイ”に目覚めた日――国内向け「HTC J」を生んだ新戦略:KDDI×HTC(4/4 ページ)
ハイスペックを武器に“グロスマ”の市場地図を塗り替えてきたHTC。そのHTCが日本専用スマホを開発した陰には、チョウCEOに「カワイイとはこういうことだ!」とレクチャーする存在があった。そう、KDDIの田中社長である。
「HTC J」が最初で最後ではない
HTCの日本法人であるHTC Nippon代表取締役社長の村井良二氏は、「HTC Jの“J”とは、もちろんJapanのこと。HTCが1つの国のためにゼロから製品をつくることは今までなかった。これは初めてのことで、とにかく日本のマーケットでブランドを浸透させたいという強い意気込みの表れ」と、ネーミングの狙いを説明した。シンプルでありながら力強く、また覚えやすいというのもポイントのようだ。
また村井氏は、2012年度に多くのフィーチャーフォンユーザーがスマートフォンに乗り換えると予測。これまでHTCはイノベーターやアーリーアダプターをメインターゲットにしていたが、HTC Jからは製品の間口をマジョリティ層へと広げたいと話す。それだけでに2012年は「HTCにとってもターニングポイント」だという。
そこでHTC Jの“応援団”として起用されたのが「乃木坂46」。会場には乃木坂46のメンバーも登場し、「カメラ機能がすごく充実していて、写真がすごく鮮明で驚きました」「音楽機能を試してみたら、外のざわざわした音が聞こえず音楽だけ聞こえて、本当にすごいんだなと思いました」と、HTC Jを試用した印象を初々しくコメント。村井氏も「今日はちょっと仕込みが入ってますが(笑)、CM撮影の前に触ってもらったときは(乃木坂46のメンバーに)本当に驚いてもらいました。HTCは今年16周年なんですが、乃木坂46の皆さんもだいたい平均16歳とのことで、同じ16歳同士。これから迎える上り坂を一緒に上っていきたいですね」と、エール(?)を贈っていた。
グローバル企業であるHTCにとって日本は1つの市場に過ぎないが、決して小さな存在ではないという。村井氏は「日本が小さいマーケットとはとらえていない。またユーザーの目が大変厳しい市場でもある。この日本で鍛えられることは非常に重要。副次的に、日本市場は非常に魅力的だ。HTC Jが最初で最後の1台ではない。今後も日本向け端末を開発していきたい」と意気込む。
またチョウ氏も、「日本市場に注力するのは、我々の戦略にとって将来性のある市場だから。数字よりもまず実行が重要だと思う。かつては(日本市場向けの)技術的な課題があったが、HTC Jでクリアしたことで解決できることが分かった。次の課題は日本でのブランド浸透であり、現時点で認知度が低いことは認めざるを得ない。スマートフォンは特定市場でも、またグロ―バル市場でも差別化がポイントになる製品。だがHTC Jでは本格的なローカライゼーションを果たしており、その点の見通しも明るいと思う。我々の強力なチームはモチベーションも高く、この挑戦を非常に楽しみにしている」と自信を見せた。
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