スマートフォン普及後をめざし、総合サービス企業化を加速する――NTTドコモ 加藤薫社長に聞く:新春インタビュー(3/3 ページ)
スマートフォンの急速な普及は、日本の携帯電話市場に大きな変化をもたらした。今後はその“後”の市場に対しどう取り組んでいくかが重要になる2013年。新春インタビュー第1弾は、NTTドコモの加藤薫社長に、2013年のドコモの取り組みを聞いた。
Xiの投資計画は前倒し 積極的な優位性の訴求も行う
―― 2012年は「LTE」が1つの争点になりましたが、ここでドコモの「Xi」はさまざまな形で先行者優位性があるにも関わらず、それがうまく訴求できていない印象を受けました。
加藤氏 それは私どもも認識しています。ドコモとしては真摯に実直にLTEインフラの構築とサービスの拡大に努めてきましたが、その訴求が「少しお上品すぎるのではないか」という指摘も一部からいただいています。これがJ.D. パワー アジア・パシフィック「2012年日本携帯電話サービス顧客満足度調査」で足を引っ張った部分もあります。ですから今年は、Xiの優位性や強みはきちんとお伝えしていきたい。
―― 2013年には顧客満足度No.1の座を奪還する、と?
加藤氏 Xiの部分がすべてではありませんし、顧客満足度No.1を獲得することが目的になってはならないとは考えています。しかし2012年の顧客満足度調査でNo.1が取れなかったことは事実ですので、社内に私が直轄するプロジェクトチームを立ち上げました。Xiの訴求のみにかかわらず、顧客満足度を回復する取り組みは真剣に行っていきます。
―― 今後のLTEへの投資は計画通り行っていくのでしょうか。
加藤氏 いいえ。計画はできるだけ前倒しします。設備投資の総額自体を青天井にするつもりはありませんが、実施計画の中身についてはより最適化し、前倒しできるところは前倒ししていきます。人口カバー率だけ見ても以前の計画より前倒しで拡大が続いていますし、こうした姿勢は2013年も変わらず続けていきます。
ユーザーとコミュニケーションするドコモを目指す
―― 加藤社長にとって2012年は「社長就任の年」だったわけですが、昨年を振り返って、どのような印象や評価を持たれていますか。
加藤氏 そうですね。ドコモのクラウド系サービスが出そろってきたことは評価しています。ここは2013年はもっとスピードアップしてやっていきたい。
一方で、2012年にちょっと辛かったのは、やはりネットワーク障害ですね。これが立て続けに起きてしまいました。ネットワーク障害が起きると、いくら端末やコンテンツ、クラウドサービスでよい取り組みをしていてもご破算になってしまいます。昨年の反省を踏まえて、ネットワーク障害への対策はしっかりやっていきたいと思っています。
―― それを踏まえて、2013年の抱負をお聞かせください。
加藤氏 私は社長就任の際に「七分でよしとせよ」と、スピード重視の経営方針を掲げました。これは2013年も継続していきます。特にサービスの部分はスピーディーに取り組んでいきたい。
2013年、ドコモはお客様の生活に役立つサービスをどんどん投入していきます。まずはそこに期待していただきたいですし、もし完成度が低い部分がありましたら、ぜひ皆様からご意見やお叱りの言葉をいただきたい。ユーザーの皆様とコミュニケーションするドコモになっていければと考えています。
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